魔力が消える前に、隣国の皇帝と期限付きの婚約を交わす
15.森の魔獣
庭園の掃除を終えた私は、額の汗を拭ってベンチに腰掛けた。今日は朝からいい天気で、花たちも喜んでいるように見える。こうして見ても、エルバトリアの城にある庭園にも引けを取らない。違うところと言えば、大きな噴水が無いところくらいだ。
魔力を放つと、ジョウロが浮いて水を注ぎ始めた。
「水を出せたら楽なんだけどな。」
雨を降らせたり、好きな場所に水を出現させたりできるようになれたら庭園の管理も楽だろうけど、水を作る魔力は難しくて手が出ない。水やりを終えて片付けていると、庭園の奥へ続く小道のようなものが見えた。
「奥にも庭園があるのかな。」
草をかき分けて進んでいくと、そこには小さな噴水があった。
「噴水だ!」
城にある噴水といえば、エルバトリアの城のように客人をもてなすためのものだと思っていたけれど、この場所は表から見えない。
「どうしてこんな場所にあるんだろう……」
小さな噴水だから見て楽しむ噴水ではないだろう。でも見れば見るほど神秘的だ。私は魔力を放って噴水の周りを掃除した。
「今日はこれくらいにしておこう。」
魔力を使い過ぎて倒れてしまっては大変だ。続きは明日やろうと小道へ戻ると、どこからか動物の鳴き声が聞こえてきた。狼のような犬のような、猫のようにも聞こえる不思議な声だ。でも噴水の周りに動物は見当たらない。
「どこから聞こえてくるんだろう……」
私は噴水を後にして、動物の声を頼りに歩いた。たどり着いたのは庭園から続く森の入り口。動物の鳴き声は、森の中から聞こえてくる。だけど、この森には皇帝陛下が結界を張っている。許可なく踏み込んではいけない。
「ランスロットさんを呼んで来よう。」
森に背中を向けると、動物の鳴き声が一層大きくなってパタリと止んだ。
魔力を放つと、ジョウロが浮いて水を注ぎ始めた。
「水を出せたら楽なんだけどな。」
雨を降らせたり、好きな場所に水を出現させたりできるようになれたら庭園の管理も楽だろうけど、水を作る魔力は難しくて手が出ない。水やりを終えて片付けていると、庭園の奥へ続く小道のようなものが見えた。
「奥にも庭園があるのかな。」
草をかき分けて進んでいくと、そこには小さな噴水があった。
「噴水だ!」
城にある噴水といえば、エルバトリアの城のように客人をもてなすためのものだと思っていたけれど、この場所は表から見えない。
「どうしてこんな場所にあるんだろう……」
小さな噴水だから見て楽しむ噴水ではないだろう。でも見れば見るほど神秘的だ。私は魔力を放って噴水の周りを掃除した。
「今日はこれくらいにしておこう。」
魔力を使い過ぎて倒れてしまっては大変だ。続きは明日やろうと小道へ戻ると、どこからか動物の鳴き声が聞こえてきた。狼のような犬のような、猫のようにも聞こえる不思議な声だ。でも噴水の周りに動物は見当たらない。
「どこから聞こえてくるんだろう……」
私は噴水を後にして、動物の声を頼りに歩いた。たどり着いたのは庭園から続く森の入り口。動物の鳴き声は、森の中から聞こえてくる。だけど、この森には皇帝陛下が結界を張っている。許可なく踏み込んではいけない。
「ランスロットさんを呼んで来よう。」
森に背中を向けると、動物の鳴き声が一層大きくなってパタリと止んだ。