魔力が消える前に、隣国の皇帝と期限付きの婚約を交わす
31.精霊の修行
城へ戻ると、皇帝陛下は魔獣の姿から元の姿に戻り、私からレオニードが入った水晶玉を取り上げた。
「うおっ!もっと優しくしてくれよ。」
「いつまでも甘えるな。」
パチンと音がして水晶玉が消えると、レオニードは慌てて羽を羽ばたかせた。でもドルレアンで見たドレイクさんの飛び方とは全然違う。ふらふらして弱々しく、今にも落ちてしまいそうだ。
「レオニード、大丈夫?」
「だ、大丈夫……わぁっ!」
バランスを崩したレオニードを受け止めようと手を出すと、私の手を押しのけて、すかさず皇帝陛下が受け止めた。
「精霊なのに飛べないとは。」
「仕方ないだろ?久しぶりなんだから。」
レオニードは再び羽を動かした。まだぎこちないけれど、なんとか持ちこたえている。
「レオニードはどうして消えようとしていたの?ルシアに会えなくなったから?」
「……そもそも俺は魔力がうまく使えないんだ。」
「精霊のくせに魔力が使えないとは笑わせる。」
「うるさいなぁ。」
冷たいことを言っているけれど、皇帝陛下はずっとレオニードが落ちないように支えている。
「魔力が使えないから、消えてもいいって思ったの?」
「ルシアは俺に魔力を教えてくれた。でも全然うまくならなかった。結局やっても無駄なんだって思って練習をサボったら、そのうち飛べなくなって……森の泉へ行けなくなった。」
「ルシアのところへ会いに行けなくなったのは、そのせいだったのね。」
「自業自得だ。魔力は自分で習得しなければならない。魔力を使えないのはお前が甘えているだけだ。」
「わかってるよ!でも、できないんだ!精霊なのに浄化の魔力が使えないって馬鹿にされてきた俺を見放さなかったのはルシアだけなんだ。ルシアだけは大丈夫だって言ってくれた。一緒にやればできるって言ってくれた。それなのに……俺は逃げたんだ……!」
レオニードは皇帝陛下の手の上で膝を抱えている。魔力を回復して飛べるようになっても、ルシアが悪の精霊のままでは森へ行くこともできない。だからレオニードはドルレアンで消えることを選んだのかもしれない。
「レオニード、魔力には個人差がある。生まれつきの魔力の強さも能力もみんな違うのよ。」
「そうかもしれないけど、俺は精霊の欠陥品だ。浄化の魔力が生まれつき使えない。」
「私の家も浄化の魔力が強いけれど、今でも使いこなせるわけじゃないわ。」
「でもセレーヌ様の魔力はすごいよ。それくらい俺でもわかる。」
「私もよく馬鹿にされたのよ。浄化の魔力の家に、使えない娘が生まれたとか……」
「最悪だな。」
「悲しかったけど悔しかったわ。うまく使えないことは本当だったから。」
「セレーヌ様にも魔力が使えない時期があったのか?」
「もちろんよ。でも私の両親は常に私のそばにいて励ましてくれた。どうすれば早く習得できるのか、どうすればうまく使えるようになるのか教えてくれた。だから頑張れたの。」
ブランシェール家の人間なのにと悩んで泣いてばかりいた時、私を励ましてくれたのは両親だった。両親はいつも私のそばで見守ってくれていた。きっと筋のない私に魔力を教えることは大変だったと思う。そして、あの時私が魔力を一生懸命習得していたのは──
「うおっ!もっと優しくしてくれよ。」
「いつまでも甘えるな。」
パチンと音がして水晶玉が消えると、レオニードは慌てて羽を羽ばたかせた。でもドルレアンで見たドレイクさんの飛び方とは全然違う。ふらふらして弱々しく、今にも落ちてしまいそうだ。
「レオニード、大丈夫?」
「だ、大丈夫……わぁっ!」
バランスを崩したレオニードを受け止めようと手を出すと、私の手を押しのけて、すかさず皇帝陛下が受け止めた。
「精霊なのに飛べないとは。」
「仕方ないだろ?久しぶりなんだから。」
レオニードは再び羽を動かした。まだぎこちないけれど、なんとか持ちこたえている。
「レオニードはどうして消えようとしていたの?ルシアに会えなくなったから?」
「……そもそも俺は魔力がうまく使えないんだ。」
「精霊のくせに魔力が使えないとは笑わせる。」
「うるさいなぁ。」
冷たいことを言っているけれど、皇帝陛下はずっとレオニードが落ちないように支えている。
「魔力が使えないから、消えてもいいって思ったの?」
「ルシアは俺に魔力を教えてくれた。でも全然うまくならなかった。結局やっても無駄なんだって思って練習をサボったら、そのうち飛べなくなって……森の泉へ行けなくなった。」
「ルシアのところへ会いに行けなくなったのは、そのせいだったのね。」
「自業自得だ。魔力は自分で習得しなければならない。魔力を使えないのはお前が甘えているだけだ。」
「わかってるよ!でも、できないんだ!精霊なのに浄化の魔力が使えないって馬鹿にされてきた俺を見放さなかったのはルシアだけなんだ。ルシアだけは大丈夫だって言ってくれた。一緒にやればできるって言ってくれた。それなのに……俺は逃げたんだ……!」
レオニードは皇帝陛下の手の上で膝を抱えている。魔力を回復して飛べるようになっても、ルシアが悪の精霊のままでは森へ行くこともできない。だからレオニードはドルレアンで消えることを選んだのかもしれない。
「レオニード、魔力には個人差がある。生まれつきの魔力の強さも能力もみんな違うのよ。」
「そうかもしれないけど、俺は精霊の欠陥品だ。浄化の魔力が生まれつき使えない。」
「私の家も浄化の魔力が強いけれど、今でも使いこなせるわけじゃないわ。」
「でもセレーヌ様の魔力はすごいよ。それくらい俺でもわかる。」
「私もよく馬鹿にされたのよ。浄化の魔力の家に、使えない娘が生まれたとか……」
「最悪だな。」
「悲しかったけど悔しかったわ。うまく使えないことは本当だったから。」
「セレーヌ様にも魔力が使えない時期があったのか?」
「もちろんよ。でも私の両親は常に私のそばにいて励ましてくれた。どうすれば早く習得できるのか、どうすればうまく使えるようになるのか教えてくれた。だから頑張れたの。」
ブランシェール家の人間なのにと悩んで泣いてばかりいた時、私を励ましてくれたのは両親だった。両親はいつも私のそばで見守ってくれていた。きっと筋のない私に魔力を教えることは大変だったと思う。そして、あの時私が魔力を一生懸命習得していたのは──