妻、猫になり逃走中! 至急確保し溺愛せよ!

15.フェリクスからのプロポーズ

「グロスター公爵がいくつかの毒草を輸入している。ルスラム皇室に献上予定だそうだ。見た目は品種改良した美しい花。でも、触れるだけで麻痺を引き起こす。使いようによっては即死する猛毒になるらしい」
「何ですって?」

私はキルステンの身が心配になった。

慌てて紙と羽ペンをとり、何度目かの手紙をキルステン宛に匿名で書く。私が近くでグロスター公爵に目を見張らせていた時とは違う。遠くで暮らすキルステンが心配で吐きそうだ。

危険な花に触れて苦しむ彼を想像するだけで、眩暈がする。
手紙を書き終えた途端、力尽きたように机に伏せってしまった。

「おい、大丈夫か? 水、飲んで」
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