妻、猫になり逃走中! 至急確保し溺愛せよ!

22.キルステンとの再会

「ビルゲッタ、ビルゲッタ!」

目を開けると眼前に必死の形相をしたキルステンがいる。
艶やかな黒髪、光り輝くアメジストの瞳、ずっと私が想い続けていた届きそうで遠く届かなかった男。
 
「キルステン、怪我はない? 大丈夫? ナイフを貴方に向けて投げた人がいたの。また、狙われるなんて本当に怖かったよね」
私の言葉を聞いてキルステンが苦痛の表情を浮かべる。彼は一瞬何か言おうとして、口を閉ざした。

言葉が出る私は人間の姿になっているようだ。私はベッドに寝かされていて、近くにはモスグリーンの礼服を着たクリフトン様がいた。私はスモークピンクのシルク生地に百合の刺繍の入った薄手の寝巻きを着せられている。
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