妻、猫になり逃走中! 至急確保し溺愛せよ!

25.貴方の子じゃない!

「フランシスはキルステンの子じゃないわ。フェリクスの子でもありません」
私の言葉にキルステンが見たこともないように驚いた顔をする。

このまま帝国に帰った時のフェリクスの扱いは想像に容易い。
私の護衛にするとキルステンは提案したが、フェリクスが好奇の目で見られるのは明白だ。
キルステンは私にも勝手に帝国を逃亡した復讐をしたいのかもしれない。

私とフェリクスが駆け落ちのように逃げた事は誰もが知るところなのだから。
戸惑ったようにキルステンの手が私の頬にそっと伸びてくる。
あの夜以来の彼の温もりを感じたい気持ちを振り払うように私はその手を払った。

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