妻、猫になり逃走中! 至急確保し溺愛せよ!

33.真昼間の訪問者

一月後、世界中にルスラム帝国のキルステン皇太子を讃えるニュースが流れた。

キルステンは水中堤防を築くことにより、味方に死傷者を出す事なく海賊を撃退したらしい。
私は無事に彼を救えたことに胸を撫でおろした。

エマヌエル皇帝が来月にはキルステンに譲位するという。
ここ最近、公式行事にエマヌエル皇帝が出席したという情報がない。
もしかしたら、皇帝陛下の体調が良くないのかもしれない。

私はふと幼くして母親を失ったキルステンの孤独を思い出し胸が痛くなる。


本当は側にいたいけれど、太陽が降り注ぐこの時間の私は猫。
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