妻、猫になり逃走中! 至急確保し溺愛せよ!

37.こんなにも愛されていた?!

キルステンの美しいアメジストの瞳は涙の膜が張り宝石のように輝いていた。
その美しさに取り込まれそうになりながらも、私は必死に自分の意図を説明する。

「にゃー!にゃん(逃げようとしてるんじゃなくって、服を着たいの)」
「君の怒りは全て受け止めるよ。君が僕を頼りないと思っているのも分かってる」
私はキルステンが誤解を解きたいのに、言葉が喋れないのがもどかしい。
人間の時は言葉が話せたのに、もっと彼の気持ちを聞けば良かったと後悔している。

前世からの初めての恋の相手キルステン。
私はただ、自分の気持ちをひたすらに彼に押し付け続けていた。
冷たくされても、どんな彼でも私は好きだと訴え続けた。
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