妻、猫になり逃走中! 至急確保し溺愛せよ!

38.キスの前に

慌てて椅子の下からアイボリーのドレスを出し着替える。
着替えの手伝いをしようとキルステンが何度も私に手を伸ばしては引っ込めているのが分かった。

着替え終わり、カーテンを開けると二年程前にフェリクスと見た風景が広がっていた。

「ビルゲッタは自分で着替えも出来たんだな」
まだ顔の赤いキルステンの問い掛けの意味を考える。
確かに皇宮では侍女に着替えどころか入浴の介助も任せていた。

「もちろん一人でできるわよ。キルステンだってそうでしょ」
私は猫時代、彼の着替えを覗き見ていたのを思い出して顔が熱くなる。
「てっきりフェリクス・ダルトワに手伝って貰っていたのかと思ってた」
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