ツンデレ当主の生贄花嫁になったら愛されすぎたので私は生贄になりたいんです!
05 フリッツの求婚
ケンプテン大公国へ戻る馬車の中で、終始珍しくフリッツは無言だった。
リーゼに結婚の話もしてこなかったが、国王に罵られていたフリッツを思い出すとリーゼは胸が痛んだ。
フリッツも第三王子として生まれた時から自分の運命は決められている。自由な選択などなく結婚相手も自分で選べない。それでもフリッツはこんな自分のことを好きだと言ってくれた。生贄花嫁の自分のためにすべてを捨てて一緒に逃げようとまで言ってくれた。そして今またフリッツを苦しめているのは、あの時カミルを選んだ自分なのではないだろうか?
父親のケンプテン大公も国の将来のためにフリッツが婿養子にくることを願っている。もしフリッツに求婚されたら? もうこれ以上優しいフリッツを苦しめることはできない。それでもやはり、本心はカミルが好きだと思ってしまう。もう報われることもないのに。
結婚のことを考えたくないリーゼは、城に戻ると自室でヴェンデルガルトから貰った本を解読することに没頭した。
ドラゴンの文字の辞書は旧い人間の文字にしか対応していないため、まずドラゴンの文字を旧い人間の文字に訳し、その後現代の言葉にするという二段階を踏まないといけなかった。
時間もかかり簡単ではないが昼も夜も忘れて読み進めていくと、全てが正しく理解できているかはわからないが、この本があらゆる獣筋について書かれている本であることはわかった。中でも特に興味深かったのは、人の姿をした狼筋が狼に姿を変えた場合の寿命に関する部分だ。
狼筋は狼に変身することができるが、大人になるとそれは身体に大変な負荷がかかるものとなる。その結果寿命を縮ませてしまうが、その負荷には個人差があり一律には決まっていない。この本にはその傷付いた身体を回復させる薬品の生成方法が書いてあった。
リーゼに結婚の話もしてこなかったが、国王に罵られていたフリッツを思い出すとリーゼは胸が痛んだ。
フリッツも第三王子として生まれた時から自分の運命は決められている。自由な選択などなく結婚相手も自分で選べない。それでもフリッツはこんな自分のことを好きだと言ってくれた。生贄花嫁の自分のためにすべてを捨てて一緒に逃げようとまで言ってくれた。そして今またフリッツを苦しめているのは、あの時カミルを選んだ自分なのではないだろうか?
父親のケンプテン大公も国の将来のためにフリッツが婿養子にくることを願っている。もしフリッツに求婚されたら? もうこれ以上優しいフリッツを苦しめることはできない。それでもやはり、本心はカミルが好きだと思ってしまう。もう報われることもないのに。
結婚のことを考えたくないリーゼは、城に戻ると自室でヴェンデルガルトから貰った本を解読することに没頭した。
ドラゴンの文字の辞書は旧い人間の文字にしか対応していないため、まずドラゴンの文字を旧い人間の文字に訳し、その後現代の言葉にするという二段階を踏まないといけなかった。
時間もかかり簡単ではないが昼も夜も忘れて読み進めていくと、全てが正しく理解できているかはわからないが、この本があらゆる獣筋について書かれている本であることはわかった。中でも特に興味深かったのは、人の姿をした狼筋が狼に姿を変えた場合の寿命に関する部分だ。
狼筋は狼に変身することができるが、大人になるとそれは身体に大変な負荷がかかるものとなる。その結果寿命を縮ませてしまうが、その負荷には個人差があり一律には決まっていない。この本にはその傷付いた身体を回復させる薬品の生成方法が書いてあった。