ツンデレ当主の生贄花嫁になったら愛されすぎたので私は生贄になりたいんです!
06 婚約式
その日の夜。
カミルは生贄花嫁としてリーゼを迎えに来た時以上の結納品や贈答品を持って、イルメラと一緒に大公国の城へとやって来た。
家臣たちがずらりと並ぶ城の謁見の間に入って来た凛々しいカミルと腕を組み、豪華で高価なドレスを纏い自信に満ち溢れたイルメラは美しかった。誰が見てもお似合いの二人だった。
ベルタの隣に立っているリーゼの方をカミルは一度も見なかった。一ヵ月前、ここへ生贄花嫁として迎えに来てくれた時は、こちらが不思議に思うほどあんなにずっと見つめてくれたのに。
高座の大公にカミルは片膝をついて挨拶した。
「大公陛下、このたびはイルメラ嬢との婚約を認めてくださりありがとうございます」
「こちらこそ貴殿が姻戚になってくれることほど頼もしいことはない。末永くよろしく頼む」
「有難き御言葉」
「お父様、あたし今、とっても幸せよ」
イルメラが当然のようにカミルの腕にしがみ付く。カミルもイルメラを見て微笑む。ショックを受けているリーゼを、イルメラが自慢気に当て付けるように見てきた。思わずリーゼは二人から目を逸らしてしまった。
謁見が終わるとカミルとイルメラ、大公夫妻が先に退出した。終にカミルは一度もリーゼを見なかった。リーゼは広間に残っているザシャを見つけると話しかけた。
「ザシャ様!」
「リーゼ! 会えて嬉しいよ。元気だった?」
「ええ。カミル様のおかげでちゃんと第一公女に戻れて城の中にお部屋も与えてもらったの。カミル様とザシャ様には本当に感謝しています」
「それならよかった。またひどい目に遭ったりしていない?」
「もう大丈夫。カミル様はお元気ですか? 体調が悪くなったりしてないですか?」
「えっ? どうしてそれを?」
カミルは生贄花嫁としてリーゼを迎えに来た時以上の結納品や贈答品を持って、イルメラと一緒に大公国の城へとやって来た。
家臣たちがずらりと並ぶ城の謁見の間に入って来た凛々しいカミルと腕を組み、豪華で高価なドレスを纏い自信に満ち溢れたイルメラは美しかった。誰が見てもお似合いの二人だった。
ベルタの隣に立っているリーゼの方をカミルは一度も見なかった。一ヵ月前、ここへ生贄花嫁として迎えに来てくれた時は、こちらが不思議に思うほどあんなにずっと見つめてくれたのに。
高座の大公にカミルは片膝をついて挨拶した。
「大公陛下、このたびはイルメラ嬢との婚約を認めてくださりありがとうございます」
「こちらこそ貴殿が姻戚になってくれることほど頼もしいことはない。末永くよろしく頼む」
「有難き御言葉」
「お父様、あたし今、とっても幸せよ」
イルメラが当然のようにカミルの腕にしがみ付く。カミルもイルメラを見て微笑む。ショックを受けているリーゼを、イルメラが自慢気に当て付けるように見てきた。思わずリーゼは二人から目を逸らしてしまった。
謁見が終わるとカミルとイルメラ、大公夫妻が先に退出した。終にカミルは一度もリーゼを見なかった。リーゼは広間に残っているザシャを見つけると話しかけた。
「ザシャ様!」
「リーゼ! 会えて嬉しいよ。元気だった?」
「ええ。カミル様のおかげでちゃんと第一公女に戻れて城の中にお部屋も与えてもらったの。カミル様とザシャ様には本当に感謝しています」
「それならよかった。またひどい目に遭ったりしていない?」
「もう大丈夫。カミル様はお元気ですか? 体調が悪くなったりしてないですか?」
「えっ? どうしてそれを?」