ツンデレ当主の生贄花嫁になったら愛されすぎたので私は生贄になりたいんです!
07 それぞれの決戦前夜~イルメラとカミル~
イルメラとの婚約式を終えてケンプテン大公国からイルメラと共に黒い森の城に戻ったカミルは、疲れた身体をソファーに横たえながら一人居室でリーゼが作った薬の瓶を見ながら考えていた。
それにしてもあの娘は何という娘なのだろう! 一度ばかりか二度までも俺の命を救おうとしている! 解読するのが困難なドラゴンの文字の本まで読んで。あの娘なら本当に呪われしカミルの名の宿命を解放してくれるかもしれない。しかし、リーゼの命と引き換えならば絶対に駄目だ。
ここのところ何度も吐血していてさすがに体力の限界を感じていた。少し眠ろうかとソファーに横になったまま腕を額に置いて目を閉じていると、ラーラの足音と足音は聞こえないがイルメラが近くに来ているとわかった。何やらイルメラがラーラに文句を言っているのが聞こえる。扉がノックされた。
「入れ」
カミルが返事をするとイルメラは扉を開いてカミルの姿を見た瞬間に、それまで怒っていた顔を満面の笑みに変えた。
両肩が露わになったロングトレーンのウェディングドレスを着ていて、スカートの後ろ部分の長い裾をラーラに持たせている。
「見てこれ!」
イルメラはラーラに長い裾を持たせたまま左右に半回転した。
「このウェディングドレス、お母様がお父様との結婚式で着ていたものなの。とっても素敵でしょ? あたしもカミル様との結婚式にはこれを着ようと持って帰ってきて試着してみたの。メイクもドレスに合わせてバッチリ仕上げてみたのよ」
「ああ、綺麗だ」
イルメラはソファーに横になったままのカミルの元に行くと跪き、カミルの胸に手を伸ばしてしな垂れかかった。
「お疲れですか?」
「少しな」
カミルはイルメラの顔を見ずに額に腕を置いたまま天井を見つめて答えた。
「婚約式、ありがとうございました。あたし、とっても幸せ」
それにしてもあの娘は何という娘なのだろう! 一度ばかりか二度までも俺の命を救おうとしている! 解読するのが困難なドラゴンの文字の本まで読んで。あの娘なら本当に呪われしカミルの名の宿命を解放してくれるかもしれない。しかし、リーゼの命と引き換えならば絶対に駄目だ。
ここのところ何度も吐血していてさすがに体力の限界を感じていた。少し眠ろうかとソファーに横になったまま腕を額に置いて目を閉じていると、ラーラの足音と足音は聞こえないがイルメラが近くに来ているとわかった。何やらイルメラがラーラに文句を言っているのが聞こえる。扉がノックされた。
「入れ」
カミルが返事をするとイルメラは扉を開いてカミルの姿を見た瞬間に、それまで怒っていた顔を満面の笑みに変えた。
両肩が露わになったロングトレーンのウェディングドレスを着ていて、スカートの後ろ部分の長い裾をラーラに持たせている。
「見てこれ!」
イルメラはラーラに長い裾を持たせたまま左右に半回転した。
「このウェディングドレス、お母様がお父様との結婚式で着ていたものなの。とっても素敵でしょ? あたしもカミル様との結婚式にはこれを着ようと持って帰ってきて試着してみたの。メイクもドレスに合わせてバッチリ仕上げてみたのよ」
「ああ、綺麗だ」
イルメラはソファーに横になったままのカミルの元に行くと跪き、カミルの胸に手を伸ばしてしな垂れかかった。
「お疲れですか?」
「少しな」
カミルはイルメラの顔を見ずに額に腕を置いたまま天井を見つめて答えた。
「婚約式、ありがとうございました。あたし、とっても幸せ」