ツンデレ当主の生贄花嫁になったら愛されすぎたので私は生贄になりたいんです!
02 生贄花嫁の儀式Ⅱ
「待ってください! 私が生贄花嫁になります!」
リーゼはドラゴンに向かって叫んだ。
「駄目だリーゼ! 来てはいけない!」
カミルはリーゼを止めたが、ウェディングドレスの裾を両手で持ち上げて櫓の階段を駆け上がり、リーゼはカミルの元へとやって来た。
「なせだ! どうして来た! 眠らせたはずなのに!」
「やっぱりカミル様があのお酒を……口に含んだ瞬間、眠り薬だとわかったの。だから全部は飲み込まずに飲んでるフリをしてグラスに戻したの。ごめんなさい」
「ああ、なんてことを……」
紅の月の前にいたドラゴンがゆっくりとリーゼの前まで降りてきた。
「誰だ? お前は」
リーゼは左目に巻いていた包帯を外した。ドラゴンがリーゼの小さな鼻に触れそうなほど怖ろしい顔を近付けて瞳を見る。
「これは面白い。ブラックオパールの瞳ではないか。お前が自ら生贄になるというのか。何故に?」
「ひとつだけ、お願いがあるからです」
「願いだと? どんな願いだ?」
「私に、ドラゴン様の鱗を一枚ください」
リーゼが何をしようとしているかわかったカミルはリーゼの両腕を掴んだ。
「やめろ! 今すぐ逃げるんだ!」
「いいえ。もう決めたんです」
「駄目だ! 俺のためにそんなことはさせない!」
「いいんです。カミル様は私のために命をくれた。私、生まれた時からずっと死にたいと思ってた。でもカミル様が生きる希望を教えてくれた。愛を教えてくれた。だから今は、幸せだから、カミル様の生贄花嫁になりたいんです!」
リーゼの両肩を掴むカミルの青い瞳から溢れる涙が両頬を流れ、線の美しい細い顎を伝って落ちていく。
「嫌だ……嫌だよリーゼ。俺を残して行かないで。俺はもう、お前なしでは生きていけない……」
リーゼはドラゴンに向かって叫んだ。
「駄目だリーゼ! 来てはいけない!」
カミルはリーゼを止めたが、ウェディングドレスの裾を両手で持ち上げて櫓の階段を駆け上がり、リーゼはカミルの元へとやって来た。
「なせだ! どうして来た! 眠らせたはずなのに!」
「やっぱりカミル様があのお酒を……口に含んだ瞬間、眠り薬だとわかったの。だから全部は飲み込まずに飲んでるフリをしてグラスに戻したの。ごめんなさい」
「ああ、なんてことを……」
紅の月の前にいたドラゴンがゆっくりとリーゼの前まで降りてきた。
「誰だ? お前は」
リーゼは左目に巻いていた包帯を外した。ドラゴンがリーゼの小さな鼻に触れそうなほど怖ろしい顔を近付けて瞳を見る。
「これは面白い。ブラックオパールの瞳ではないか。お前が自ら生贄になるというのか。何故に?」
「ひとつだけ、お願いがあるからです」
「願いだと? どんな願いだ?」
「私に、ドラゴン様の鱗を一枚ください」
リーゼが何をしようとしているかわかったカミルはリーゼの両腕を掴んだ。
「やめろ! 今すぐ逃げるんだ!」
「いいえ。もう決めたんです」
「駄目だ! 俺のためにそんなことはさせない!」
「いいんです。カミル様は私のために命をくれた。私、生まれた時からずっと死にたいと思ってた。でもカミル様が生きる希望を教えてくれた。愛を教えてくれた。だから今は、幸せだから、カミル様の生贄花嫁になりたいんです!」
リーゼの両肩を掴むカミルの青い瞳から溢れる涙が両頬を流れ、線の美しい細い顎を伝って落ちていく。
「嫌だ……嫌だよリーゼ。俺を残して行かないで。俺はもう、お前なしでは生きていけない……」