ツンデレ当主の生贄花嫁になったら愛されすぎたので私は生贄になりたいんです!
04 生贄花嫁の儀式Ⅳ
カミルの透き通るような白い肌は血の気を失い、白さを通り越して既に青い。
倒れ込んだカミルの上半身をリーゼは膝の上に抱き上げた。
「死なないで! カミル様!」
泣き叫ぶリーゼの涙が流れる頬に、カミルは左手で触れた。
「これでいいんだ……リーゼ……ずっとどんな時もお前だけを愛していたよ。お前だけは……生きてくれ……」
「いやあああああ!」
リーゼの腕の中でがっくりとカミルの頭と両手は下に落ちた。心臓は鼓動を失っている。
この世の絶望のすべてを集めたように泣き喚くリーゼに、終始事の成り行きを見守っていたドラゴンが話しかけた。
「リーゼよ。カミル7世とお前の命を懸けた愛に免じ、先ほどの願いを叶えてやろう。我が片鱗が欲しいか?」
リーゼはドラゴンを見ると首を横に振った。
「いいえ。それはもう、必要ではなくなりました」
「ほう。では何を望む?」
「カミル様を、生き返らせてください」
「すまないが、それはできぬ」
「そうですか……それではこれもお返しします」
リーゼはカミルの左手の薬指からルビーの指輪を外すとドラゴンに渡した。
「最後のお願いです。私を生贄花嫁として連れて行ってください。そしてこんな狂った儀式を、もう二度と行わないで!」
「お前という娘は、これでもまだ自分が生贄花嫁になろうとするのか。しかし、その願いは却下された!」
願いを叶えてもらえず絶望したリーゼに怖ろしい形相でドラゴンはニヤリと笑うと、猛スピードで天に昇り紅の月の前で大きく翼をはためかせた。
すると今度は天から地上へと急降下して逃げているベルタとイルメラに一瞬で追いつき、泣き叫ぶ二人を両手に掴んで再び天へと急上昇した。
紅の月を背にして浮かんでいるドラゴンの姿はまるで、櫓の上にいるリーゼの守護神か召喚獣のようだった。
倒れ込んだカミルの上半身をリーゼは膝の上に抱き上げた。
「死なないで! カミル様!」
泣き叫ぶリーゼの涙が流れる頬に、カミルは左手で触れた。
「これでいいんだ……リーゼ……ずっとどんな時もお前だけを愛していたよ。お前だけは……生きてくれ……」
「いやあああああ!」
リーゼの腕の中でがっくりとカミルの頭と両手は下に落ちた。心臓は鼓動を失っている。
この世の絶望のすべてを集めたように泣き喚くリーゼに、終始事の成り行きを見守っていたドラゴンが話しかけた。
「リーゼよ。カミル7世とお前の命を懸けた愛に免じ、先ほどの願いを叶えてやろう。我が片鱗が欲しいか?」
リーゼはドラゴンを見ると首を横に振った。
「いいえ。それはもう、必要ではなくなりました」
「ほう。では何を望む?」
「カミル様を、生き返らせてください」
「すまないが、それはできぬ」
「そうですか……それではこれもお返しします」
リーゼはカミルの左手の薬指からルビーの指輪を外すとドラゴンに渡した。
「最後のお願いです。私を生贄花嫁として連れて行ってください。そしてこんな狂った儀式を、もう二度と行わないで!」
「お前という娘は、これでもまだ自分が生贄花嫁になろうとするのか。しかし、その願いは却下された!」
願いを叶えてもらえず絶望したリーゼに怖ろしい形相でドラゴンはニヤリと笑うと、猛スピードで天に昇り紅の月の前で大きく翼をはためかせた。
すると今度は天から地上へと急降下して逃げているベルタとイルメラに一瞬で追いつき、泣き叫ぶ二人を両手に掴んで再び天へと急上昇した。
紅の月を背にして浮かんでいるドラゴンの姿はまるで、櫓の上にいるリーゼの守護神か召喚獣のようだった。