ツンデレ当主の生贄花嫁になったら愛されすぎたので私は生贄になりたいんです!

07 二人の初めての夜!?

カミルの親族との顔合わせの夕食会が終了し自室に戻ったリーゼは、ドレスを脱いで入浴を済ませるとラーラが用意してくれていた薄い夜着に着替えた。

ソファーに倒れ込み今日一日のことを振り返る。

カミルが何を考えているのか全くわからない。

ずっと見つめられてやさしくされたかと思えば、所詮生贄花嫁などと冷たく言われた。

あんなに美しいカミルはずっとモテてきただろうし、女性の扱いが上手いのは当然だ。甘い言葉もキスも呼吸するのと変わりないのだろう。

カミルは生贄花嫁にできるブラックオパールの瞳の娘なら誰でもよいのだ。

それなのにこんなにショックなのはなぜ? 人から嫌われることには慣れているのに。

でももう、戻れるところなどどこにもない。少なくともあの監禁塔に戻るくらいなら、生贄花嫁として死ぬ方がいい。

リーゼが自分の人生に諦めの決意をしたとき、部屋の扉がノックされた。

扉を開けるとリボンがかけられたシャンパンとフルートグラスを2個、そしてサンドイッチを持ったカミルが立っていた。

「カミル様! どうしたんですか? こんな時間に」

リーゼを見たカミルは一瞬目を見開いたあと、顔を背けた。

心倣しかいつもの白く透き通るような肌の顔が耳まで紅くなっている。

「その前に、身体が透けているぞ。何か羽織れ」

カミルに言われて自分の身体を見たリーゼは恥ずかしさでいっぱいになった。夜着が薄すぎて胸やウエスト、下半身のラインまで透けて見えている。

「あっ! ごめんなさいっ」

リーゼは慌ててカミルの目前で扉を思いきりバンと閉めると、寝室で急いでガウンを羽織り戻ってきて扉を開けた。

咳払いをしたカミルが改めて言う。

「入ってもいいか?」

「あっ、はい。どうぞ」

部屋の中に入りソファーに座ったカミルの隣にリーゼも座った。

カミルが慣れた手付きでシャンパンのコルク栓をポンと音を立てて抜き、2つのフルートグラスに注いだ。シュワシュワと炭酸が弾けていく音が心地好い。

カミルはグラスを手にとるとリーゼにも渡した。
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