ツンデレ当主の生贄花嫁になったら愛されすぎたので私は生贄になりたいんです!
第1章
01 黒い森の生贄花嫁
石造の監禁塔で過ごす冬は冷たく辛い。
5階建の監禁塔の最上階の暗く狭い部屋で、リーゼが凍えながら冷たい冬を過ごすのも19回目となっていた。
小さな正方形の窓から見えるのは鈍色の曇り空だけで、暖かい太陽の日差しは届かない。
この監禁塔は昔からケンプテン大公国の敵国の捕虜を幽閉するために使用されていた。
ブラックオパールの瞳を持つ呪われし子として生まれたリーゼは、生まれた時からずっとこの監禁塔に幽閉されてきた。
正統な第一公女であるのにも関わらず召使と身分を偽らされ、ブラックオパールの瞳であることを決して誰にも知られないよう左目に包帯を巻いて隠して。
生まれた時から面倒を見てくれていた召使長だったマルゴットは、リーゼが9歳の時に突然倒れて急死してしまった。
それからは一人で召使の仕事の編み物や裁縫などをして暮らしてきた。
監禁塔の部屋から出られるのは城の掃除や料理などの召使として仕事をする時だけ。
しかし不憫に思った父親のケンプテン大公は、人目につかない深夜だけ読書好きなリーゼが城の図書室でこっそりと本を読むことだけは許してくれた。
その日も監禁塔の暗く狹い部屋で凍てつく両手に息を吐いて暖めながら刺繍をしていると、部屋の重くて厚い鉄の扉が開いた。
「リーゼ、頼んでおいたあたしのウェディングドレスの刺繍はちゃんと進んでる?」
「今ちょうどやっているところよ、イルメラ。薔薇の花の模様で仕上げているの。とても自信作よ」
「3ヶ月後のあたしとフリッツの結婚式までには間に合うでしょうね?」
「ええ、もちろん」
重くて厚い鉄の扉を開けて入ってきたのはリーゼの義妹・イルメラ・グライスナーだ。
5階建の監禁塔の最上階の暗く狭い部屋で、リーゼが凍えながら冷たい冬を過ごすのも19回目となっていた。
小さな正方形の窓から見えるのは鈍色の曇り空だけで、暖かい太陽の日差しは届かない。
この監禁塔は昔からケンプテン大公国の敵国の捕虜を幽閉するために使用されていた。
ブラックオパールの瞳を持つ呪われし子として生まれたリーゼは、生まれた時からずっとこの監禁塔に幽閉されてきた。
正統な第一公女であるのにも関わらず召使と身分を偽らされ、ブラックオパールの瞳であることを決して誰にも知られないよう左目に包帯を巻いて隠して。
生まれた時から面倒を見てくれていた召使長だったマルゴットは、リーゼが9歳の時に突然倒れて急死してしまった。
それからは一人で召使の仕事の編み物や裁縫などをして暮らしてきた。
監禁塔の部屋から出られるのは城の掃除や料理などの召使として仕事をする時だけ。
しかし不憫に思った父親のケンプテン大公は、人目につかない深夜だけ読書好きなリーゼが城の図書室でこっそりと本を読むことだけは許してくれた。
その日も監禁塔の暗く狹い部屋で凍てつく両手に息を吐いて暖めながら刺繍をしていると、部屋の重くて厚い鉄の扉が開いた。
「リーゼ、頼んでおいたあたしのウェディングドレスの刺繍はちゃんと進んでる?」
「今ちょうどやっているところよ、イルメラ。薔薇の花の模様で仕上げているの。とても自信作よ」
「3ヶ月後のあたしとフリッツの結婚式までには間に合うでしょうね?」
「ええ、もちろん」
重くて厚い鉄の扉を開けて入ってきたのはリーゼの義妹・イルメラ・グライスナーだ。