ツンデレ当主の生贄花嫁になったら愛されすぎたので私は生贄になりたいんです!
02 謀略
ケンプテン大公国の城ではリーゼの継母でもある大公妃ベルタと義妹のイルメラが、カミルが持参してきた結納品の金銀財宝をひとつひとつ嬉しそうに吟味していた。
「ああもう一体誰よ! 狼筋の男が毛むくじゃらの怖ろしくて醜い男だと言ったのは! あんなに裕福で美しい男じゃない! お母様、あたしカミル様に一目惚れしてしまったわ」
憤慨しているイルメラを宥めるように、金杯を掲げその輝きを愛おしそうに見つめてベルタが言った。
「高が召使の生贄花嫁に対する結納品だけでこの豪華さよ。きっと黒い森のカミルの城は立派で豪華でこのケンプテン大公国なんて目じゃないんでしょうね」
「お母様、あたし、カミル様と結婚したい」
「お母様も貴女にはフリッツと結婚してこの大公国を継いでもらうのが一番だと思っていたけれど、地位も財産も権力も遥かに上回っているカミルと結婚するのも悪くないわね」
「どうしたら結婚できるかしら?」
「カミルとリーゼの結婚は生贄花嫁の儀式のための形式的なもの。それが終わってリーゼが生贄になった後に、貴女がカミルと本当に結婚すればいいのよ。今のうちにカミルの城へ行ってアピールしておきなさい」
「うまくできるかしら」
「あたくしのかわいい一人娘のイルメラ。欲しい物があれば手に入れる。それだけよ。大丈夫、お母様のようにやればいいのよ」
「お母様のようにって?」
「フフフ。もうすぐ貴女も18歳。大人の女として生きていかなくてはならない。この世界はね、裏切者だろうが卑怯者であろうが、やったもの勝ちなのよ」
「もしかして、お母様がリーゼの母親を……?」
「ちょっぴりリーゼを産む前に与えたお薬を間違えちゃっただけよ。そのせいで亡くなったかどうかなんて、今となっては誰にもわからないわ」
「ああもう一体誰よ! 狼筋の男が毛むくじゃらの怖ろしくて醜い男だと言ったのは! あんなに裕福で美しい男じゃない! お母様、あたしカミル様に一目惚れしてしまったわ」
憤慨しているイルメラを宥めるように、金杯を掲げその輝きを愛おしそうに見つめてベルタが言った。
「高が召使の生贄花嫁に対する結納品だけでこの豪華さよ。きっと黒い森のカミルの城は立派で豪華でこのケンプテン大公国なんて目じゃないんでしょうね」
「お母様、あたし、カミル様と結婚したい」
「お母様も貴女にはフリッツと結婚してこの大公国を継いでもらうのが一番だと思っていたけれど、地位も財産も権力も遥かに上回っているカミルと結婚するのも悪くないわね」
「どうしたら結婚できるかしら?」
「カミルとリーゼの結婚は生贄花嫁の儀式のための形式的なもの。それが終わってリーゼが生贄になった後に、貴女がカミルと本当に結婚すればいいのよ。今のうちにカミルの城へ行ってアピールしておきなさい」
「うまくできるかしら」
「あたくしのかわいい一人娘のイルメラ。欲しい物があれば手に入れる。それだけよ。大丈夫、お母様のようにやればいいのよ」
「お母様のようにって?」
「フフフ。もうすぐ貴女も18歳。大人の女として生きていかなくてはならない。この世界はね、裏切者だろうが卑怯者であろうが、やったもの勝ちなのよ」
「もしかして、お母様がリーゼの母親を……?」
「ちょっぴりリーゼを産む前に与えたお薬を間違えちゃっただけよ。そのせいで亡くなったかどうかなんて、今となっては誰にもわからないわ」