ツンデレ当主の生贄花嫁になったら愛されすぎたので私は生贄になりたいんです!
03 醜い娘
大きな窓から差し込む明るい朝の光が、クイーンサイズのベッドの端っこで床に落ちそうになりながら眠っているリーゼの顔を照らし出す。監禁塔で幽閉されていたリーゼにとって、朝の太陽の光で目覚めるなんて人生ではじめてのことだった。
ベッドから下りてバスルームで顔を洗っていると、ラーラが朝食を持って来てくれた。
「おはようございます、リーゼ様。昨晩はよく眠れましたか?」
「ええ、とっても。こんなに柔らかいベッドで寝るなんてはじめて」
「カミル様はリーゼ様に何ひとつ不自由のない生活を提供するようにと、城中の召使たちに指示されていますからね」
「そうなんだ……ただの生贄花嫁なのに」
「テーブルに朝食を置いておきますね。ゆっくり召し上がってください」
朝食も盛りだくさんだった。搾りたてのオレンジジュースに焼き立てのクロワッサンやデニッシュ。ハムエッグに新鮮野菜のサラダ。ドレッシングだけでも10種類はある。今までの監禁塔での朝食は硬いライ麦パンとミルクだけだった。それでも十分美味しく頂いていたのに。カミルの贅沢すぎるほどのもてなしには恐縮してしまう。
朝食の後片付けもラーラがやってくれて何もすることがない。大公国の城では召使として忙しく働いていたから手持無沙汰になったリーゼは、何かできることがないかと厨房へ行ってみた。皿洗いでもいいしケーキ作りも好きだし、洗濯や裁縫だって得意だ。
厨房の扉が開いていたので中を覗くと、メイド服のスカート部分から縞模様の尻尾が出ている穴熊筋と思われる召使二人が、胡桃の殻割りをしていた。自分も手伝いたいとリーゼが二人の背後から話しかけようとした時、一人が口を開いた。
「どうしてカミル様はあんな包帯を巻いた醜い子に『何ひとつ不自由のない生活を提供するように』なんて私たちに言うのかしら」
「そんなの決まってるじゃない、生贄花嫁だからよ」
ベッドから下りてバスルームで顔を洗っていると、ラーラが朝食を持って来てくれた。
「おはようございます、リーゼ様。昨晩はよく眠れましたか?」
「ええ、とっても。こんなに柔らかいベッドで寝るなんてはじめて」
「カミル様はリーゼ様に何ひとつ不自由のない生活を提供するようにと、城中の召使たちに指示されていますからね」
「そうなんだ……ただの生贄花嫁なのに」
「テーブルに朝食を置いておきますね。ゆっくり召し上がってください」
朝食も盛りだくさんだった。搾りたてのオレンジジュースに焼き立てのクロワッサンやデニッシュ。ハムエッグに新鮮野菜のサラダ。ドレッシングだけでも10種類はある。今までの監禁塔での朝食は硬いライ麦パンとミルクだけだった。それでも十分美味しく頂いていたのに。カミルの贅沢すぎるほどのもてなしには恐縮してしまう。
朝食の後片付けもラーラがやってくれて何もすることがない。大公国の城では召使として忙しく働いていたから手持無沙汰になったリーゼは、何かできることがないかと厨房へ行ってみた。皿洗いでもいいしケーキ作りも好きだし、洗濯や裁縫だって得意だ。
厨房の扉が開いていたので中を覗くと、メイド服のスカート部分から縞模様の尻尾が出ている穴熊筋と思われる召使二人が、胡桃の殻割りをしていた。自分も手伝いたいとリーゼが二人の背後から話しかけようとした時、一人が口を開いた。
「どうしてカミル様はあんな包帯を巻いた醜い子に『何ひとつ不自由のない生活を提供するように』なんて私たちに言うのかしら」
「そんなの決まってるじゃない、生贄花嫁だからよ」