ツンデレ当主の生贄花嫁になったら愛されすぎたので私は生贄になりたいんです!
07 三度目の……!?
エプロンドレスに紫色のスミレの花の刺繍を施したリーゼは、約束どおり次の日もケーキを作ってニクラスの部屋を訪れた。
「ニクラス様。今日はパウンドケーキじゃなくて、いちじくのクラフティにしてみました」
「余計なことをしおって。昨日と同じものでよいのに」
また嫌味を言いつつもニクラスは残らず食べ切ってくれた。
「美味かったぞ」
「ほんとですか!?」
「ああ、リーゼとやら」
思いもかけずニクラスが名前を呼んでくれたから、包帯を巻いていない右目から涙が溢れた。
「どうしたのだ?」
「ニクラス様が名前を呼んでくれたのが嬉しくて」
「そんなことくらいで泣くでない。もしこんなお前が泣いているところをカミルとザシャに見られたら、また虐めたのかとわしが叱られるではないか」
「えっ?」
その時はじめて自分の知らないところで、カミルとザシャが守っていてくれたことを知った。
「ほれ、もう泣くでない」
「はい、ニクラス様」
「お爺様と呼べ」
「はい! お爺様!」
リーゼは嬉しくてニクラスに抱きついてしまったが、馴れ馴れしくするなと叱られてしまった。
「こんな点数稼ぎをしたところで、生贄花嫁にはなってもらうからな」
「わかってます! もう覚悟はできてますから。お爺様は他にどんなケーキがお好きですか?」
「わしは甘いものはなんでも好きじゃ」
「木苺とかはどうです? 今の季節しか手に入らないんですよ」
「ほう、それは良い」
「近々、お誕生日の方っています? バースデーケーキにのせるとかわいくてちょうどいいの」
「わし」
「えっ? お爺様?」
「うむ」
「それなら私、張り切って生クリームでデコレーションした7段のバースデーケーキ作っちゃいますね! 楽しみにしててください」
ニクラスと少しでも距離を縮められたことが嬉しかったリーゼは、カミルが森の見廻りから帰城したと聞いてすぐに居室を訪れたが、そこにはいなかった。
広い城中を探し回ってやっと見つけたカミルは、回廊を抜けた先の別棟にある図書室の本棚の前で立ったまま本を読んでいた。
「ニクラス様。今日はパウンドケーキじゃなくて、いちじくのクラフティにしてみました」
「余計なことをしおって。昨日と同じものでよいのに」
また嫌味を言いつつもニクラスは残らず食べ切ってくれた。
「美味かったぞ」
「ほんとですか!?」
「ああ、リーゼとやら」
思いもかけずニクラスが名前を呼んでくれたから、包帯を巻いていない右目から涙が溢れた。
「どうしたのだ?」
「ニクラス様が名前を呼んでくれたのが嬉しくて」
「そんなことくらいで泣くでない。もしこんなお前が泣いているところをカミルとザシャに見られたら、また虐めたのかとわしが叱られるではないか」
「えっ?」
その時はじめて自分の知らないところで、カミルとザシャが守っていてくれたことを知った。
「ほれ、もう泣くでない」
「はい、ニクラス様」
「お爺様と呼べ」
「はい! お爺様!」
リーゼは嬉しくてニクラスに抱きついてしまったが、馴れ馴れしくするなと叱られてしまった。
「こんな点数稼ぎをしたところで、生贄花嫁にはなってもらうからな」
「わかってます! もう覚悟はできてますから。お爺様は他にどんなケーキがお好きですか?」
「わしは甘いものはなんでも好きじゃ」
「木苺とかはどうです? 今の季節しか手に入らないんですよ」
「ほう、それは良い」
「近々、お誕生日の方っています? バースデーケーキにのせるとかわいくてちょうどいいの」
「わし」
「えっ? お爺様?」
「うむ」
「それなら私、張り切って生クリームでデコレーションした7段のバースデーケーキ作っちゃいますね! 楽しみにしててください」
ニクラスと少しでも距離を縮められたことが嬉しかったリーゼは、カミルが森の見廻りから帰城したと聞いてすぐに居室を訪れたが、そこにはいなかった。
広い城中を探し回ってやっと見つけたカミルは、回廊を抜けた先の別棟にある図書室の本棚の前で立ったまま本を読んでいた。