ツンデレ当主の生贄花嫁になったら愛されすぎたので私は生贄になりたいんです!

08 告白

ラーラに連れられて大階段を降り、城の入口の大理石の床のホールに着いたリーゼとカミルは驚いた。

「イルメラ! それにフリッツまで!」

ホールにはケンプテン大公国から来たイルメラとフリッツが立っていた。

「リーゼ!」

イルメラはリーゼに駆け寄って抱きついた。

「きっと生贄花嫁として慣れない国で不安な毎日を過ごしているだろうって、貴女のことをみんな心配していて。お父様たちの代わりにあたしとフリッツで様子を見に来たのよ」

「そうなのね、ありがとう」

「会いたかったよ、リーゼ」

「私もよ、フリッツ」

フリッツがリーゼをハグすると、カミルがすっとリーゼをフリッツから引き離した。

「こちらは?」

カミルがフリッツを一瞥する。

「えっと、こちらはイルメラの許嫁のフリッツです」

「ああ、あの馬車の時の……」

カミルとフリッツはお互いに鋭い視線のまま挨拶した。

ゴージャスなドレスと髪を綺麗に結い上げたイルメラは自らカミルの前に進み出て、両手でドレスのスカートを持ち上げ片方の足の膝を軽く曲げてカーテシーした。

「カミル様。ケンプテン大公国の第一公女、イルメラと申します。憶えておいでかしら?」

「もちろん。君みたいな美人を忘れるわけがない」

カミルがイルメラを褒め称え嬉しそうに接するのを見て、やはり自分だけに甘い言葉を言うのではないとリーゼは思った。

「カミル様、あたし達を来月の儀式の日までこのお城に滞在させていただけますか? あたし達、リーゼに最後まで付き添ってあげたくて……」

そう言いながら泣き出したイルメラの肩をフリッツが抱き寄せる。イルメラはフリッツの胸の中で大泣きした。

「もちろん好きなだけどうぞ。部屋もたくさんありますから」

カミルはザシャを呼ぶとイルメラとフリッツを部屋へと案内させた。リーゼと二人きりになったカミルは冷たい表情で言った。

「あのフリッツという男は、お前の義妹の許嫁なのか?」

「はい」

「じゃあ、お前とはどんな関係なんだ? 随分と仲が良さそうだが」
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