ツンデレ当主の生贄花嫁になったら愛されすぎたので私は生贄になりたいんです!
02 お爺様の誕生日
ニクラス5世の誕生日当日となった。
リーゼは約束通り7段の木苺のバースデーケーキを作るため、朝から早起きして厨房に籠っていた。
舞踏会の夜から数日が経過したが、あの展望台で本心を聞いてからカミルとは一度もちゃんと会ってもいないし話もしていない。カミルがリーゼの部屋に来ることもなくなったし、廊下などですれ違っても目すら合わせてくれなくなった。
それもそうだろう、醜い自分は生贄花嫁にすらなれないのだから。カミルにしてみればもう生贄花嫁として逃げられないよう機嫌を取る必要もなくなったのだ。
毎日いつ大公国へ帰れと通達されるのか待つだけの日々だった。カミルの本心がショックすぎてフリッツにもカミルとのことは話せなかった。でも元気がないことは気付かれてしまい、寄り添ってくれるフリッツには申し訳ない気持ちで一杯だった。
なぜならあんなに酷いことを言われても、まだカミルのことが好きだから。
リーゼと疎遠になったと同時に、カミルとイルメラはどんどん距離を縮めていった。楽しそうに話す二人を見て、いっそのことカミルのことを嫌いになれればいいのにと思っても、嫌いになれなくてただただ悲しくて辛かった。人を好きになることと同時に失恋も知ってしまった。
全部忘れたいとバースデーケーキ作りに没頭した。ケーキのスポンジ台を何枚も焼き、生クリームでデコレーションもして最後の飾りつけをしようとした時、地下の貯蔵庫に保管しておいた木苺がなくなっていることに気付いた。時刻はもう夕方4時を過ぎている。
木苺を探して何度も地下の貯蔵庫と厨房を行き来していると、イルメラが心配して話しかけてきた。
「どうしたの? リーゼ。そんなに慌てて」
「お爺様のバースデーケーキのために準備しておいた木苺が全部なくなってるの」
「木苺が?」
「ええ、どれだけ探してもみつからないわ」
「木苺がないとバースデーケーキは完成しないわね。どうするの? もう夕方よ」
「そうよね。でもお爺様と約束したし。仕方がないわ。今から森まで行って摘んで来る」
リーゼは約束通り7段の木苺のバースデーケーキを作るため、朝から早起きして厨房に籠っていた。
舞踏会の夜から数日が経過したが、あの展望台で本心を聞いてからカミルとは一度もちゃんと会ってもいないし話もしていない。カミルがリーゼの部屋に来ることもなくなったし、廊下などですれ違っても目すら合わせてくれなくなった。
それもそうだろう、醜い自分は生贄花嫁にすらなれないのだから。カミルにしてみればもう生贄花嫁として逃げられないよう機嫌を取る必要もなくなったのだ。
毎日いつ大公国へ帰れと通達されるのか待つだけの日々だった。カミルの本心がショックすぎてフリッツにもカミルとのことは話せなかった。でも元気がないことは気付かれてしまい、寄り添ってくれるフリッツには申し訳ない気持ちで一杯だった。
なぜならあんなに酷いことを言われても、まだカミルのことが好きだから。
リーゼと疎遠になったと同時に、カミルとイルメラはどんどん距離を縮めていった。楽しそうに話す二人を見て、いっそのことカミルのことを嫌いになれればいいのにと思っても、嫌いになれなくてただただ悲しくて辛かった。人を好きになることと同時に失恋も知ってしまった。
全部忘れたいとバースデーケーキ作りに没頭した。ケーキのスポンジ台を何枚も焼き、生クリームでデコレーションもして最後の飾りつけをしようとした時、地下の貯蔵庫に保管しておいた木苺がなくなっていることに気付いた。時刻はもう夕方4時を過ぎている。
木苺を探して何度も地下の貯蔵庫と厨房を行き来していると、イルメラが心配して話しかけてきた。
「どうしたの? リーゼ。そんなに慌てて」
「お爺様のバースデーケーキのために準備しておいた木苺が全部なくなってるの」
「木苺が?」
「ええ、どれだけ探してもみつからないわ」
「木苺がないとバースデーケーキは完成しないわね。どうするの? もう夕方よ」
「そうよね。でもお爺様と約束したし。仕方がないわ。今から森まで行って摘んで来る」