甘い香りに引き寄せられて ~正体不明の彼は、会社の××でした~
第四話 隠せない想い
「あ、白石さん、今日もいい香りがする~。今回はどこの香水を付けてるんですか?」
時刻は十二時を過ぎている。昼休憩の時間だ。
同じ部署で仲良くしている後輩の佐希子は、結香のそばまでやってきたかと思えば、その顔を近づけてくる。その距離の近さにもすっかり慣れてしまったので、結香は特段驚くこともなく、作業していたファイルを閉じながら言葉を返す。
「これはオイル香水なんだ。シトラスの香りなの。表参道にあるお店だよ」
「へぇ、オイル香水! いいなぁ。私も買いたいので、今度買い物付き合ってくださいよ」
「もちろんいいよ」
「本当ですか? やったぁ! それじゃあシフトが出たら、予定決めましょうね!」
佐希子は嬉しそうに笑いながら、手作りだという弁当を手にして去っていった。別の部署に年上の彼氏がいるらしく、お昼は一緒に食べているみたいだ。
結香はその日の気分によって弁当を持参したり、外に食べに行ったりしている。今日は弁当を持ってきていないので、外で食べるか、コンビニで何か買って簡単に済ませてしまうのもありだ。
どうしようかと考えながらスマホを開けば、一通のメッセージが届いていることに気づいた。