用済みだと捨てたのはあなたです、どうかおかまいなく~隣国で王子たちに愛されて私は幸せです~
第五章
「えれいんはここ。あらんはここ」
昼食の時間、テオがエレインとアランの手を引いて、それぞれ座る椅子を指定する。
四人掛けのテーブル席、テオ専用の椅子の隣にエレインを、自分の向かいの席にアランを座らせて、満足そうに自分の席によじ登った。
「ぼくはここ」
「ふふ、エスコートありがとうございます、テオドールさま」
「ぼくはテオ」
「あっ、すみません、テオさま」
エレインがそう呼ぶと、テオは嬉しそうにはにかんだ。
(可愛い……! 意思疎通ができるのもだけど、笑顔が可愛すぎだわ!)
名前がまだたどたどしいが、それもまた可愛さに拍車をかけている。
「テオ……俺もたまにはテオの隣に座りたいんだけど?」
「だめ。えれいんはぼくのとなり」
「そうだな……、テオはエレインが大好きだからな」
ちょっとしゅんとしつつ、アランは仕方ないと笑う。
「あらんもえれいんすき?」
テオの突然の振りに、エレインはぎょっとする。
「もちろん好きだよ」
(ひゃぁ……)
甘い声が、耳にくすぐったい。
それが、建前であり、たとえ本音であってもアランの慈悲深さからくる情であることはわかっているのに、恥ずかしくてアランの方を見れなかった。
「えれいんも、あらんのことすき?」
「えっ、あ、はい、す、す……好きです」
「ぼくのこともすき?」
「もちろんです! テオさまも殿下もエレインにとってとても大切な人ですよ」
そう言うと、テオは「たいせつなひと」とエレインの言葉を噛みしめるように繰り返す。
もうすぐ四歳の誕生日を迎えるテオは、もともと言葉の発達も年齢より達者だったらしく、大人の言うことをほとんど理解している様子だった。
「えれいんもあらんも、ぼくのたいせつなひと!」
顔を輝かせ、屈託のない笑顔でそう言い放ったテオに、エレインもアランも頬が緩む。
(きっと、もう大丈夫ね)
昼食の時間、テオがエレインとアランの手を引いて、それぞれ座る椅子を指定する。
四人掛けのテーブル席、テオ専用の椅子の隣にエレインを、自分の向かいの席にアランを座らせて、満足そうに自分の席によじ登った。
「ぼくはここ」
「ふふ、エスコートありがとうございます、テオドールさま」
「ぼくはテオ」
「あっ、すみません、テオさま」
エレインがそう呼ぶと、テオは嬉しそうにはにかんだ。
(可愛い……! 意思疎通ができるのもだけど、笑顔が可愛すぎだわ!)
名前がまだたどたどしいが、それもまた可愛さに拍車をかけている。
「テオ……俺もたまにはテオの隣に座りたいんだけど?」
「だめ。えれいんはぼくのとなり」
「そうだな……、テオはエレインが大好きだからな」
ちょっとしゅんとしつつ、アランは仕方ないと笑う。
「あらんもえれいんすき?」
テオの突然の振りに、エレインはぎょっとする。
「もちろん好きだよ」
(ひゃぁ……)
甘い声が、耳にくすぐったい。
それが、建前であり、たとえ本音であってもアランの慈悲深さからくる情であることはわかっているのに、恥ずかしくてアランの方を見れなかった。
「えれいんも、あらんのことすき?」
「えっ、あ、はい、す、す……好きです」
「ぼくのこともすき?」
「もちろんです! テオさまも殿下もエレインにとってとても大切な人ですよ」
そう言うと、テオは「たいせつなひと」とエレインの言葉を噛みしめるように繰り返す。
もうすぐ四歳の誕生日を迎えるテオは、もともと言葉の発達も年齢より達者だったらしく、大人の言うことをほとんど理解している様子だった。
「えれいんもあらんも、ぼくのたいせつなひと!」
顔を輝かせ、屈託のない笑顔でそう言い放ったテオに、エレインもアランも頬が緩む。
(きっと、もう大丈夫ね)