転生して捨てられたボク、最恐お義兄さまに拾われる~無能と虐げられたけど辺境で才能開花⁉~
第八章 大切な居場所は絶対に奪わせません!
ドレイクとヒルマイナが領都マノリアに襲来してから三日が経った。
この三日間、アウルの周りでは特になにも起きることはなく、なんとも平穏な日々が流れた。
氷室の一件のような厄介な事件も起きず、資金が増えたことでクロウの領地開拓も順調に進み、アウルの魔道具製作も着実に進歩を遂げていた。
そしてドレイクとヒルマイナが突然押しかけてきた記憶も、皆の中で希薄になりつつある頃……それは突然やってきた。
「クロウ様、緊急のご報告が!」
「どうしたストーク?」
今日は魔道具製作をお休みにしてインプットの日にしようと、執務室で本を読んでいると……
ストークが慌てた様子で部屋に駆け込んできた。
激しく息を切らしており、無理矢理に声を出そうとして咳き込む彼を、クロウは冷静に落ち着かせる。
「ゆっくりでいいストーク。なにがあった」
「はぁ……はぁ……ブランチの森にて火災発生と、監視塔の者より通達がありました!」
「なに!?」
クロウだけではなくアウルも目を見開く。
唐突に平穏を切り裂いた異常事態。
アウルの脳裏にひとつの嫌な予感がよぎる。
森での火災が珍しいのもそうだが、なによりタイミングが明らかに怪しい。
しかし断定はできないのでなにも言わないでおくと、クロウとストークの会話が続けられる。
「被害の規模は?」
「把握し切れておりません。というのも火の手がひとつではなく、森の至る所から上がっており火災の原因や火元が正確に掴めないとのことです」
「至る所からだと……?」
不自然な形で火の手が広まっているらしい。
ますます嫌な予感が募っていく。
すると同じ直感をしたらしいクロウが、黒目を細めて呟いた。
「まさかとは思うがな。いやしかし、このタイミングでの不審火となると、考えられる可能性は……」