転生して捨てられたボク、最恐お義兄さまに拾われる~無能と虐げられたけど辺境で才能開花⁉~
第六章 子供から教わることもある
ホイップクリーム製作を成功させてから五日が経った。
あれ以来、屋敷内はその話で持ち切りになっている。
ホイップクリームが美味しかった、ということもそうだが、それ以上にアウルの話題が屋敷内に広まっていた。
誰も持っていない知識の活用。希少な氷を生み出す力。改めてアウルがとんでもない才能を持った子供だと再認識する人が続出している。
そして最近では料理や飲み物などの用途で、アウルの氷生成の力が頼られるようになってきていた。
ただでさえ貴重な氷は、夏を目の前にしたこの時期では尚更手に入りづらい。
そこでアウルとフェンリルの力が頼られることが増えてきて、アウルはよく屋敷内で使用人たちに手を貸している。
「これくらいでいいでしゅか?」
「はい、すっごく助かりますアウル様! フェンリル様!」
使用人たちが口にする飲料水を冷やす用として、アウルとフェンリルはボウル一杯の氷を生み出した。
夏の時期にキンキンに冷えた水を飲むというのは、氷が貴重なこの世界において相当な贅沢とされている。
そのため使用人たちから深く感謝されることが多く、アウルとしてもお世話になっている人たちへの恩返しができているので気持ちが満たされていた。
おまけにフェンリルへの魔力供給を繰り返すうちに、魔力の感覚をかなり掴めるようになってきて、操作も上達してきた。
というわけで、そろそろ次のステップに進んでもいいのではないかと思い、アウルはロビンに尋ねた。
「ねえロビン、そろそろまどーぐちゅくってもいいー?」
「魔道具ですか?」
魔法の勉強をしている最中のこと。
そろそろ休憩時間になるだろうという頃合いでロビンに問いかける。
次のステップ。それは魔道具製作のことだ。
魔力に色がなく、魔法が使えないアウルは、魔道具や魔法薬の製作くらいしかできることがない。
だからお世話になっているクロウや使用人たちの役にもっと立てるようになるために、いち早く魔道具か魔法薬の製作がしたいと思っている。
あとは単純に楽しそうだから早くやりたいという気持ちが強い。
「そうですね。この短期間で魔力操作がとても上手になってきましたし、魔道具の製作も問題なくできると思いますよ」
「それじゃあ……!」
「ただ、魔道具の製作は少なからずの危険が伴います。簡単にお許しすることはできません」
「うぅ……」
やっぱりそうだよなとアウルは苦い顔をする。