始まりは一夜の出会いから
Prologue
 あの日から毎日同じ夢を見る。

 久し振りに会える喜びと急にサプライズで来たら驚くかななんて浮足立った状態で当時交際していた彼の家に突然押しかけた。

 一人暮らしの彼の家の合鍵を使って、鍵穴に鍵を差し込んで回して開けたら、玄関に置かれてる彼のスニーカーと私のでは無い知らない女性のパンプス。

 当時高校3年生だった私が、初めての彼氏で1個上の先輩と付き合っていた時の出来事だった。彼が大学生に上がって学校も違えば中々会えなくなり、私も受験勉強に追われて中々会いに来られてなかったけど、その日は記念日だったから。

 一人暮らししているからいつでもおいでと合鍵を渡されていて、今日は連絡もせず家に入り込んだ。

 まだ浮気と決まったわけじゃない。2人でいなきゃ行けない事情があったのかもと、息を整えて落ち着かせてから物音を立てない様に奥まで進む。

 中の部屋を覗くとベッドの上で彼氏の上に股がってはしたなく腰を振りながら喘ぐ長い髪で茶髪の女の人。美人な人だった。

 彼氏は喘ぐばかりでこちらに気が付かず、代わりに女の人と目があった。勝ち誇った様な顔をして、私の方を見ていた。

 その姿を見てから上手く息が出来なくて、一刻も早く出ようと彼氏の家の合鍵を玄関先に置いて、家を出てきた。

 苦しくて、どうしようもなくて。

 少し離れた公園まで全力疾走をした。
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