始まりは一夜の出会いから
Episode4
　夜中3時頃、寝落ちから目が覚めると目の前に私を抱き締めながら規則正しく息をして眠る新くんの顔があった。

　昨夜、新くんが会社まで迎えに来てくれて居酒屋で飲んだ後、そのまま新くんの家に上がり込んで、今まで空いていた隙間を埋める様に肌を重ね合わせ、一夜を過ごした。

　久し振りだったから余裕も無さそうに求められて、表情ですらも全ていつもよりも愛おしく感じた。

そのまま寝落ちして共に寝てしまったらしく、少し寝汗をかいた状態で体がべたべたして気持ちが悪い。

　脱ぎ捨てた服を拾ってそのままシャワーを浴びに行こうと考えて、ベッドの下に手を伸ばして、新くんを起こさない様に静かに服を拾った。

　そのタイミングでふと行為中の事を思い出すと、顔が火照って手で顔を覆った。

　いつもよりたくさんの愛の言葉を注がれて、触れ方もいつもより丁寧で優しかったのに、余裕が無くて。

　そんなことを思い出しながら眠っている新くんの顔を見ると、綺麗な寝顔をしている。

　少しだけ頭を軽く撫でて、ベッドから出ようとすると突然手首を掴まれた。


「有咲さん…？」

「ごめん、起こしちゃった？」


　目を擦って、眠たそうな目で私を見ている。
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