奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
第五章 復讐の始まり
ディーデリックは、やり遂げた。
 ドミニクの私室から、証拠となる品々の写しを持ち出してきたのだ。
 母が設計だけすませていた『記録機』という魔道具がある。これは、目の前にある光景を記録できるものなのだが、ディーデリックは裏帳簿のページを一枚一枚捲り、すべて内容を写し取ってきた。

「……まさか、こんなに横領をしていたなんて」

 高価な品々を納品させていたが、宮廷魔道具師に与えられる費用を流用して、自分の研究に使っていた記録をとることができた。

「……これで、宮中からドミニクを追放できますか?」
「彼の汚職の証拠もある。ここから攻めればいいだろう」

 どうやら、宮廷魔道具師への素材の提供にあたり、様々な商人から賄賂を取って口利きをしていたらしい。
 さらには、優先的に魔道具を譲るなどの名目で、貴族達からも金銭を集めていたようだ。

「たしかに彼は、高価な素材を多く購入していたわね」

 シャリーンが、顎に手を当てる。
 魔道具の制作には、高価な素材を必要とすることも多い。
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