奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
第六章 忘れ去られた王女と皇太子
ザフィーラがエリュシアのいる離宮を訪れたのは、帰還して三日後のことだった。
先ぶれも出さず一方的に押しかけてきたのは、王女として認めてないという意思表示だろうか。本来ならば、姉妹といえど、相手の都合を聞いてから訪問するものなのに。
「お前が戻ってくるなんてね。あのまま、王宮の外で暮らしていればよかったのに」
「トーマスの説得がなければ、私だって戻ってくるつもりはありませんでしたわ」
見せつけようとしているのか、ザフィーラは今日も豪華なドレスをまとっていた。一枚で庶民なら何年も暮らせるような高級品のレース。
この国の経済状況で、そんな繊細なレースを多用したドレスを着用する余裕はあるのだろうか。
(なんて、考えてもしかたないわね)
ザフィーラのドレスから目をそらす。エリュシアが落ち着き払っているのが、逆に彼女を苛立たせたようだった。
「……図々しいわね。本当、母親そっくり」
ザフィーラの顔に茶をぶちまけてやりたい心情にかられたが、ドレスをきゅっと握ることでその衝動を抑えこむ。
先ぶれも出さず一方的に押しかけてきたのは、王女として認めてないという意思表示だろうか。本来ならば、姉妹といえど、相手の都合を聞いてから訪問するものなのに。
「お前が戻ってくるなんてね。あのまま、王宮の外で暮らしていればよかったのに」
「トーマスの説得がなければ、私だって戻ってくるつもりはありませんでしたわ」
見せつけようとしているのか、ザフィーラは今日も豪華なドレスをまとっていた。一枚で庶民なら何年も暮らせるような高級品のレース。
この国の経済状況で、そんな繊細なレースを多用したドレスを着用する余裕はあるのだろうか。
(なんて、考えてもしかたないわね)
ザフィーラのドレスから目をそらす。エリュシアが落ち着き払っているのが、逆に彼女を苛立たせたようだった。
「……図々しいわね。本当、母親そっくり」
ザフィーラの顔に茶をぶちまけてやりたい心情にかられたが、ドレスをきゅっと握ることでその衝動を抑えこむ。