恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される

第11話 アルフレッドに隠し事はできないみたい

 ベッド横に灯っていた明かりが消され、窓から差し込む月明かりだけとなった。
 暗闇の中で、アルフレッドが動く気配がした。それからすぐに、柔らかい唇が額に寄せられた。毎晩の、お休みのキスだわ。

 枕を並べ、手を繋いで寄り添うだけでも、未だに緊張する。それが伝わってしまったのか、アルフレッドは今夜も「おやすみ」といった。

 絡めた指がすりすりと撫でられる。もう片手が私の背に回り、まるで子どもを寝かしつけるように優しく叩いた。
 私に、魅力がないのかしら。

 よからぬ考えが頭をよぎったけど、遺跡から戻った夜、アルフレッドが私にいった言葉を思い出す。あの時、私を浚ってベッドに行きたいといってくれた。それは、そういう意味だったのよね。
 愛してるともいってくれていた。

「……アルフレッド」

 名を呼ぶと、絡められた指にきゅっと力が込められた。

 肌が触れあった場所が熱をもっていく。ただ触れているだけどこんなドキドキしているのに、抱いて欲しいなんていえるわけがない。
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