恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される

第12話 私自身、重症だと思っている(アルフレッド視点)

 アデルノアの報告書に目を通し終え、深く息を吐いて椅子の背もたれに体を預けた。

「悩ましいな……」
「そうだろう。今のところ被害は出ていないようだが、時間の問題かもな」
「調査団を被害がでた時に対処できるよう構成しなおすか……」
「この時期に動けそうなメンツの選抜が難しいな」

 報告書を持ってきたレスターは、ガシガシと前髪をかき乱して深いため息をついた。

 レスターとは学生時代からの付き合いだ。今でこそ私の護衛騎士などという肩書で側にいるが、実際のところは気心の知れた友人であり、私の代わりに動いてくれる頼もしい片腕だ。

「あの塔の魔核は、やはり枯れていなかったということか」
「そうなるな。けど、活動期の記録が全く見つからなくてな。どうやら、何十年、下手をすれば百年以上、ただの廃墟として放置されていたようだ。誰も、あそこが再び動き出すとは思っていなかったんだと」

 呆れたというように肩をすかせたレスターは、どうするのかと問うように私を見た。

「私も一度、近隣の街に出向こう」
「お姫さんもついてくるっていうと思うぞ」
「それは……」
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