恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される

第15話 ヴァネッサ様の過去を知る

　数日、ヴァネッサ様と刺繍をすごしてすごす日が続いた。
　カーラも一緒に針仕事をしていたのだけど、ヴァネッサ様はずいぶん気にかけ、出産前の用意はどのくらい進んでいるか、体調に変化はないか、毎日声をかけていた。

　ヴァネッサ様からみたら、カーラは孫娘のようなものなのかしら。屋敷のメイドにまで優しいなんて、その姿勢を学ばないといけないわね。ゆくゆくは、私がこの屋敷を取り仕切るようになるのだし。

　そんなある日のことだった。
　昨日は、商人の出入りが多かった。当然だが、女性よりも男性と挨拶を交わすことが多く、その結果、アルフレッドからのキスの雨がいつも以上に激しい夜を過ごした。

　使用人や来客に笑顔を向けたのをよく見ているもので、誰それが私を見て鼻の下を伸ばしていたとか、拗ねるようにいうのに、呆れるやら嬉しいやら恥ずかしいやらだった。

　おかげで、しっかりと胸元を隠すドレスを着て、ヴァネッサ様のお部屋に来たら、どうしたのかと心配されてしまった。

「少し涼しくなったとはいえ、着込みすぎではない？」