恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される

第3話 どうすれば、始まってもいない恋を終わらせられるの?

 静かに閉ざされた扉の音が響いたのち、部屋は静寂に包まれた。
 
 ここから応接間は遠い。
 お姉様たちの会話が聞こえるはずもなく、何が話されているのかと不安に思って待つことしか出来ない。
 
 どれくらいそうしていただろうか。
 アルフレッドはいつ戻るかなと思い始めた頃、馬車の蹄の音が聞こえてきた。

 弾かれるように起きて、ブランケットが床に落ちるのも気にせず窓辺に走りよった。
 その向こうに見たのは、屋敷から遠ざかる馬車だった。その車体にはオーランド伯爵家の紋章が入っている。
 
 フェリクス様とダイアナが乗っているのね。
 
 二人は何を話しているのだろう。また、あの日のように仲睦まじく見つめ合っているのだろうか。

 頬を熱い雫が落ちてゆく。
 窓に手を突いたまま、ずるずるとその場にしゃがみ込んだ。

 フェリクス様はきっと、婚約の解消を申し入れにきたんだわ。
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