恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
第4話 幼き日に誓った思いは変わらない(アルフレッド視点)
お湯を沸かし、就寝前にリリーステラ様へお持ちするハーブティーを用意しながら、昔のことを思い出していた。
リリーステラ様が初めて私の手を握ってくださったのは、遊び相手としてお会いした十五年前。
旦那様の背中に隠れていて、おずおずと出てきたリリーステラ様は愛らしくスカートをつまみ上げて挨拶をなさった。その姿は絵本から飛び出した小さなお姫様のようだった。
私の手を掴み、絵本を読んでくださいといって甘えてくださる姿が、愛おしかった。
一生涯、このお姫様を守ろう。十歳にも満たなかった私は、迷うことなく神に誓った。それを両親に伝えると、父は私に白い手袋を用意した。
「アルフレッド、主に素手で触れることは許されない。お前が心からお嬢様にお仕えしたいと願うのなら、これを外してはいけない」
そう語った時、父がどこか悲しそうに笑ったことを今でも思い出す。
幼かった私は、父と同じように生涯尽くす主を見つけたのだと思っていた。新品の白い手袋を見て、一つ大人になれたのだと勘違いをしていた。
リリーステラ様が初めて私の手を握ってくださったのは、遊び相手としてお会いした十五年前。
旦那様の背中に隠れていて、おずおずと出てきたリリーステラ様は愛らしくスカートをつまみ上げて挨拶をなさった。その姿は絵本から飛び出した小さなお姫様のようだった。
私の手を掴み、絵本を読んでくださいといって甘えてくださる姿が、愛おしかった。
一生涯、このお姫様を守ろう。十歳にも満たなかった私は、迷うことなく神に誓った。それを両親に伝えると、父は私に白い手袋を用意した。
「アルフレッド、主に素手で触れることは許されない。お前が心からお嬢様にお仕えしたいと願うのなら、これを外してはいけない」
そう語った時、父がどこか悲しそうに笑ったことを今でも思い出す。
幼かった私は、父と同じように生涯尽くす主を見つけたのだと思っていた。新品の白い手袋を見て、一つ大人になれたのだと勘違いをしていた。