恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される

第5話 婚約解消まで秒読み開始……?

 フェリクス様のご両親は誠実な方なようで、ことの次第を知ってすぐに訪れ、謝罪を申し入れた。

 でも、私が謝罪を受け入れたことにされては問題だと、お義兄様はオーランド伯爵様が屋敷に上がることを拒まれた。

 お父様の到着まで、私も部屋で静かに過ごすことを言い渡された。

 それでも、オーランド伯爵様は毎日馬車で訪れた。
 会わないと突きつけられても訪れるなんて、伯爵様はフェリクス様のお父上と思えない誠実な方なのね。

 部屋の窓辺で、屋敷を去っていく馬車を毎日見送ると申し訳ない気もしたわ。

 でも、私は考えることに疲れていた。だから、お父様たちが到着した頃には、窓の外を眺めることもなくなっていた。

 ご縁がなかったのと考えれば良いのかしら。

 お姉様に借りた恋愛小説の頁をめくりながら、ふと思う。
 この本に書かれていることが真実であれば、世の中には縁というものがあるらしい。それは生まれる前からの繋がりであり、「巡り合わせ」というそうだわ。
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