恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
第6話 ここではないどこかへ、私を連れ出して
全てが片付いたその日の夜、私はお気に入りの冒険譚のページをめくりながら、ハーブティーを飲んでいた。
ほんのり甘くてスパイシーな今夜のハーブティーは、未踏遺跡で主人公を惑わせる敵を彷彿とさせる魅惑の香り。
惑わす敵を振り払うのは、仲間の風の魔法が吹き抜け──口角を上げて楽しんでいると、開けていた窓から夜風が入り込んだ。
ふと顔を上げると、アルフレッドが窓を閉める姿が視界に入った。
そういえば、私が学園を卒業したらクラレンス辺境伯領へいくのよね。
あそこには、数多くの未踏遺跡があると聞いている。
「ねえ、アルフレッド。未踏遺跡に行ったことがあるの?」
「何度かはあります」
「……クラレンス家の養子となったら、遺跡へ調査に行くこともあるの?」
「そうですね。領地を知るための視察で行くこともあると思います」
「そうなのね……ちょっと、羨ましいわ」
本を閉じてテーブルに置き、温かなカップを両手で包むようにして持ち上げた。
ほんのり甘くてスパイシーな今夜のハーブティーは、未踏遺跡で主人公を惑わせる敵を彷彿とさせる魅惑の香り。
惑わす敵を振り払うのは、仲間の風の魔法が吹き抜け──口角を上げて楽しんでいると、開けていた窓から夜風が入り込んだ。
ふと顔を上げると、アルフレッドが窓を閉める姿が視界に入った。
そういえば、私が学園を卒業したらクラレンス辺境伯領へいくのよね。
あそこには、数多くの未踏遺跡があると聞いている。
「ねえ、アルフレッド。未踏遺跡に行ったことがあるの?」
「何度かはあります」
「……クラレンス家の養子となったら、遺跡へ調査に行くこともあるの?」
「そうですね。領地を知るための視察で行くこともあると思います」
「そうなのね……ちょっと、羨ましいわ」
本を閉じてテーブルに置き、温かなカップを両手で包むようにして持ち上げた。