恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される

第2話 傷ついた私を癒してくれるのは、別世界に繋がる冒険譚

 ある日、私を心配した一番上のスカーレットお姉様がお茶に誘ってくれた。
 
 気を遣ってくださったお姉様は、私の部屋にお茶を用意してくださった。
 甘いクッキーにスコーン、ジャムとクリーム、ナッツにチーズ、果物。食べやすくカットされたサンドイッチ。どれも可愛らしくて美味しそう。

 なのに、心は浮かばない。

 部屋のテーブルに用意されたアフターヌーンティーを眺めながら、ついため息をこぼしてしまった。

「読書の邪魔をしちゃったかしら?」
「!?……そんなことはありません。だだ、お姉様に気を遣わせてしまい、まだまだ未熟だと痛感しています」

 ソファーに置いてあった小さな冊子を、そっと背中に隠しながら、ぎこちなく笑った。
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