絶対零度の王子殿下は、訳アリ男装令嬢を愛して離さない
番外編(アンリサイド)
カイルが男性ではなく女性で、死んだはずの双子の妹のセレナだったと調査を命じた部下から報告を受けたとき、アンリの心に浮かんだのは「やっぱり」という納得感。疑惑が確信に変わっただけだったはずなのに、アンリは心の奥底でその事実を喜んでいる自分がいることに気付き、戸惑いを覚えた。
その数瞬後には、セレナに対する自身の感情の正体を自覚する。
しかしアンリは、それからというものセレナにどう接すればいいのかわからなくなってしまった。
これまで誰かに好意を抱いたことがなかったアンリにとって、それはまぎれもない「初恋」。
セレナに抱いていた好ましい友情が、鮮やかな色を帯びて恋情へと姿を変えていく一方で、これほど近くにいるのに本当のことを隠されているという関係性が鋭いナイフとなってアンリを傷つける。
セレナの育ってきた環境を思えば、真面目な彼女が他者に真実を打ち明けることなどできるはずがないことはアンリも理解していた。だけれども、理解するのと受け入れるのとでは全くの別問題だった。
仕方がないことだとわかっているのに、本当のことを言ってくれない彼女に対して怒りにも似た感情が湧いてきてしまい、ぎこちない態度を取ってしまった。
そんな狭小な自分にもイラついてしまい、アンリはほとほと困り果てていた。
頭と感情とがちぐはぐな状態を、アンリは16年生きてきてこのとき初めて経験したのだった。
その数瞬後には、セレナに対する自身の感情の正体を自覚する。
しかしアンリは、それからというものセレナにどう接すればいいのかわからなくなってしまった。
これまで誰かに好意を抱いたことがなかったアンリにとって、それはまぎれもない「初恋」。
セレナに抱いていた好ましい友情が、鮮やかな色を帯びて恋情へと姿を変えていく一方で、これほど近くにいるのに本当のことを隠されているという関係性が鋭いナイフとなってアンリを傷つける。
セレナの育ってきた環境を思えば、真面目な彼女が他者に真実を打ち明けることなどできるはずがないことはアンリも理解していた。だけれども、理解するのと受け入れるのとでは全くの別問題だった。
仕方がないことだとわかっているのに、本当のことを言ってくれない彼女に対して怒りにも似た感情が湧いてきてしまい、ぎこちない態度を取ってしまった。
そんな狭小な自分にもイラついてしまい、アンリはほとほと困り果てていた。
頭と感情とがちぐはぐな状態を、アンリは16年生きてきてこのとき初めて経験したのだった。