ハイヒールの魔法
エピローグ
　昨夜は結婚式の疲れと、夜明けまでずっと起きていたこともあり、家に帰ってシャワーを浴びた途端にねむりについてしまった。

　夕方になってようやく目を覚ました瀬名は、スマホに届いていた徹平からのメッセージを見つけ、初めて彼氏が出来たことを思い出したのだ。

『朝まで連れ回しちゃってごめんね。ゆっくり休めたかな？　明日会えるのを楽しみにしてる』

　画面を見た瞬間、あまりの甘さに胸がときめき、ベッドの上を転げ回ってしまった。

　あぁ、どうしよう。まだ初日なのに、これからどうなっちゃうんだろう──付き合った経験のない瀬名にとって未知の領域であり、彼女としてやっていけるのか不安しかなかった。

　とりあえずメッセージを返そうとするが、なかなかうまい文章が打てず、書いては消してを繰り返していると、再びスマートフォンが音を鳴らした。

恐る恐る画面を覗き込むと、画面には徹平の名前があり、ものすごいスピードでメッセージを開く。

『おはよう。実はこのメッセージを打つの、ちょっと緊張してる。もう夕飯は食べた？　俺はさっき牛丼食べに行っちゃった』

　瀬名は驚いた。徹平も緊張しているとわかって、ホッとした自分がいた。

『今起きたの。夕飯はこれから軽く済ませる予定。明日の夜は一緒に食べられるから楽しみ』

　送信ボタンを押した途端、またスマートフォンが音を立てた。

『俺も』

　それを見た瞬間、胸がギュッと締めつけられるような気持ちになった。昨日出会ったばかりだけど、もうこんなにも好きが募ってきている。

　あっという間に恋に落ち、こんなにも早いスピードで愛が育つということを初めて知った。
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