運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
決戦の日
 翌日は日曜日ということもあり、アサクラタワーには昼前から多くの人々が集まっていた。買い物に訪れる人、ランチを楽しむ人――理由はさまざまだが、ビルの周囲は活気に満ちている。

 車窓からその巨大な建物を見上げると、最上階までは到底視界に収まりきらない。
 その見えない場所にあるのが、ホテルThe Céleste。あの日、私が優希くんと一夜をともにした場所だ。まさかそこで、今日はパーティーに参加することになろうとは――あのときは想像すらしていなかった。

 結菜は、今朝、沙織さんとお母様が迎えに来てくれてた。沙織さんは事の顛末を聞いたようで、『私も味方だからね』そう言ってくれた。本当に温かい姉と母が一度にできたようでとても心強い。

 エントランスに車が滑り込み、運転手がドアを開けてくれる。
「さあ、行こうか」
 その声に私もうなずいた。
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