運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける

予想外の出来事

　幸せな気持ちで優希くんの部屋をあとにすると、エントランスには黒塗りの高級車が静かに待っていた。
「お送りさせていただきます」
　
にこやかな笑みを浮かべた、四十代ほどの紳士的な男性に会釈をして、私は車に乗り込んだ。優希くんと再会できて、そして抱かれることができた――。母や祖父母がなくなってから、初めて安心して眠るような気がする。

　運転手は家まで送るように言われていたらしいが、私はなんとか説得し、そっと自宅の前で降ろしてもらった。まだ朝早く、琴音や父は起きていないようで、屋敷は静まり返っている。その気配に、思わず安堵の息をついた。