45歳、妊娠しました
第14話 決断の時
翌朝、鏡の前に立った美香は、自分の顔をまじまじと見つめた。
少し青白く、目の下にはくっきりとした影。
妊娠の喜びよりも、検査への不安と仕事の重圧が色濃く刻まれているように見えた。
オフィスに向かう電車の中でも、頭の中は検査のことでいっぱいだった。
スマートフォンで「高齢出産 羊水検査」と検索すると、さまざまな体験談が目に飛び込んでくる。
「安心を得られた」「リスクを知って悩んだ」「受けなければよかった」……どの言葉も胸に刺さった。
昼休み、同僚の裕子からメッセージが届いた。
《大丈夫? 少し顔色悪いよ》
思わず指が動いた。
《羊水検査、受けるか迷ってるの》
放課後、二人はカフェで会った。
裕子は温かい紅茶を差し出しながら、静かに言った。
「私もあのとき、すごく迷った。でもね、検査を受けて“この子を産む”って決意できたの。安心を得るための検査じゃなくて、自分の覚悟を確かめるためのものだった」
その言葉に、美香は息をのんだ。
覚悟。
私は……何を恐れているのだろう。
帰宅後、娘の結衣がリビングに降りてきた。
「……ママ」
不器用に口を開く。
「もし赤ちゃんに何かあっても、うちは……大丈夫なんじゃないかな」
意外な言葉に、美香は驚いて結衣を見つめた。
結衣はうつむきながらも、続けた。
「だって……うち、3人でやってきたじゃん。きっと4人でも5人でも、何とかなるんだよ」
その夜、美香は布団の中で長く目を閉じていた。
──答えはもう出ていた。
翌日、病院に電話をかけ、「検査を受けます」と告げた。
少し青白く、目の下にはくっきりとした影。
妊娠の喜びよりも、検査への不安と仕事の重圧が色濃く刻まれているように見えた。
オフィスに向かう電車の中でも、頭の中は検査のことでいっぱいだった。
スマートフォンで「高齢出産 羊水検査」と検索すると、さまざまな体験談が目に飛び込んでくる。
「安心を得られた」「リスクを知って悩んだ」「受けなければよかった」……どの言葉も胸に刺さった。
昼休み、同僚の裕子からメッセージが届いた。
《大丈夫? 少し顔色悪いよ》
思わず指が動いた。
《羊水検査、受けるか迷ってるの》
放課後、二人はカフェで会った。
裕子は温かい紅茶を差し出しながら、静かに言った。
「私もあのとき、すごく迷った。でもね、検査を受けて“この子を産む”って決意できたの。安心を得るための検査じゃなくて、自分の覚悟を確かめるためのものだった」
その言葉に、美香は息をのんだ。
覚悟。
私は……何を恐れているのだろう。
帰宅後、娘の結衣がリビングに降りてきた。
「……ママ」
不器用に口を開く。
「もし赤ちゃんに何かあっても、うちは……大丈夫なんじゃないかな」
意外な言葉に、美香は驚いて結衣を見つめた。
結衣はうつむきながらも、続けた。
「だって……うち、3人でやってきたじゃん。きっと4人でも5人でも、何とかなるんだよ」
その夜、美香は布団の中で長く目を閉じていた。
──答えはもう出ていた。
翌日、病院に電話をかけ、「検査を受けます」と告げた。