借金令嬢は異世界でカフェを開きます
第4話 オズワルド
仕事場に戻ったオズワルドを待っていたのは、十二歳年上の姉エミリアだった。部下は彼女に追い出されたようで、姉は一人で何やら書類とにらめっこをしている。
ドアの開閉音に気づいたらしいエミリアは、顔を上げて弟を見るとニヤリと笑った。そのまま何も言わずにニヤニヤしているのでオズワルドは顔をしかめ、黙って机に戻ると仕事の続きを始めた。
「グレース嬢の店に行ってたんだな?」
声にまでニヤニヤが入っているような調子の姉を無視していると、今度は鼻歌が聞こえだしてきて呆れた。
「邪魔をしたいだけなら出ていっていただけますか?」
はっきり言って邪魔である。
「そう言うな。幸福そうな弟の顔を見て喜んでいるだけだ」
「幸福そう? たしかにお腹いっぱい美味しいものを食べてきましたが」
とぼけて見せるが相手には当然通じない。はあと大きくため息を付き、手にしていた書類を置いた。
「はいはい、たしかに幸福ですよ。わかったら黙って仕事をさせてください」
「ふむふむ。素直でよろしい」
再び書類に目をやるが、脳裏に浮かぶのはさっきまで一緒だった女性の姿だ。
最後に特別だと言って出してくれたコーヒー。
青い炎をうっとり見つめる顔はとても可愛らしく、彼女にバレないよう気をつけながらも懸命に目に焼き付けた。
ドアの開閉音に気づいたらしいエミリアは、顔を上げて弟を見るとニヤリと笑った。そのまま何も言わずにニヤニヤしているのでオズワルドは顔をしかめ、黙って机に戻ると仕事の続きを始めた。
「グレース嬢の店に行ってたんだな?」
声にまでニヤニヤが入っているような調子の姉を無視していると、今度は鼻歌が聞こえだしてきて呆れた。
「邪魔をしたいだけなら出ていっていただけますか?」
はっきり言って邪魔である。
「そう言うな。幸福そうな弟の顔を見て喜んでいるだけだ」
「幸福そう? たしかにお腹いっぱい美味しいものを食べてきましたが」
とぼけて見せるが相手には当然通じない。はあと大きくため息を付き、手にしていた書類を置いた。
「はいはい、たしかに幸福ですよ。わかったら黙って仕事をさせてください」
「ふむふむ。素直でよろしい」
再び書類に目をやるが、脳裏に浮かぶのはさっきまで一緒だった女性の姿だ。
最後に特別だと言って出してくれたコーヒー。
青い炎をうっとり見つめる顔はとても可愛らしく、彼女にバレないよう気をつけながらも懸命に目に焼き付けた。