借金令嬢は異世界でカフェを開きます
第5話 新商品
カフェ「レディ・グレース」の営業時間は基本昼と夕の二回に分かれているが、開店から一年ちょっと経った頃から、週に二回だけ朝も一時間だけ開店することになった。
理由は簡単。
パンの仕入れ先であるバージから、売れ残ったパンについて相談を受けたこと。
ほぼ同じころ近所の常連客から、「食事は軽いものでいいから、週に二度、朝も営業してもらえないか」と相談を受けたことがきっかけだった。
人を増やせない中、掃除や仕込みなどを考えると営業時間を増やすのは厳しいものがあったが、グレースは快く引き受けたのだ。
***
慌ただしいモーニングタイムが間もなく終わろうとする頃。
チリンと可愛いベルの音が客の来訪を告げた。
「すみません、モーニングはもう――――ピアツェさん!」
せっかくの客だが、人数によってはお断りをするつもりで口を開いたグレースは、扉の前に立っている大柄な老婦人を見てパッと顔を輝かせた。
年配の女性にしては背が高い。黒に近い茶のドレスの大柄な女性ピアツェは、グレースを受け止めるかのように、杖を持ったまま両手を広げて見せた。
「グレース! グレースッ! さあさあ、このピアツェにその可愛い顔を見せとくれ!」
よく通るその声に客らが何事かと振り返るが、常連客のほとんどが彼女の姿を見ると何事もなかったかのように、もしくはクスッと笑いながら食事に戻った。
最近はとんとご無沙汰だったが、ピアツェも常連客の一人であり、この店に牛乳などを卸している農場主であることを皆知っているからだ。
「ピアツェさん、ご無沙汰してます。南部に行っていると聞いてました。いつお帰りに? お元気でしたか?」
理由は簡単。
パンの仕入れ先であるバージから、売れ残ったパンについて相談を受けたこと。
ほぼ同じころ近所の常連客から、「食事は軽いものでいいから、週に二度、朝も営業してもらえないか」と相談を受けたことがきっかけだった。
人を増やせない中、掃除や仕込みなどを考えると営業時間を増やすのは厳しいものがあったが、グレースは快く引き受けたのだ。
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慌ただしいモーニングタイムが間もなく終わろうとする頃。
チリンと可愛いベルの音が客の来訪を告げた。
「すみません、モーニングはもう――――ピアツェさん!」
せっかくの客だが、人数によってはお断りをするつもりで口を開いたグレースは、扉の前に立っている大柄な老婦人を見てパッと顔を輝かせた。
年配の女性にしては背が高い。黒に近い茶のドレスの大柄な女性ピアツェは、グレースを受け止めるかのように、杖を持ったまま両手を広げて見せた。
「グレース! グレースッ! さあさあ、このピアツェにその可愛い顔を見せとくれ!」
よく通るその声に客らが何事かと振り返るが、常連客のほとんどが彼女の姿を見ると何事もなかったかのように、もしくはクスッと笑いながら食事に戻った。
最近はとんとご無沙汰だったが、ピアツェも常連客の一人であり、この店に牛乳などを卸している農場主であることを皆知っているからだ。
「ピアツェさん、ご無沙汰してます。南部に行っていると聞いてました。いつお帰りに? お元気でしたか?」