借金令嬢は異世界でカフェを開きます
第6話 モリー
その日、モリーはキッチンカウンターの陰でガタガタ震えていた。グレースから
「モリー隠れて。絶対に見つかってはダメよ。何があっても音を立てないで」
と厳しく指示されているため、口元を抑えて悲鳴をあげまいと懸命に歯を食いしばる。
グレースは今、ガラの悪い男達の相手をしていた。あれは金貸しタナーのところの奴らだ!
(お嬢様、お嬢様!)
本来こちらが主を守らなければならない立場にもかかわらず、モリーは怯え、ただグレースの言いつけを守って隠れていることしかできない。
グレースは風変わりなお嬢様だ。
モリーは代々伯爵家で働かせてもらっている家系なので小さい頃からグレースを知っているのだが、お仕えするお嬢様でありながら姉のように親しい存在でもあった。
以前は体が弱く顔を真っ青にして寝込むことが多かったが、いつも笑顔で使用人にも優しい。中でもモリーはグレースより二歳年下のせいか、随分可愛がられたと自負している。
だから事故で旦那様が亡くなったあと、懸命に行動するお嬢様についていくことはごく自然なことだった。今までの儚い雰囲気から一転したのも興味深く、ますます大好きになった。
「ご両親と引き離してしまってごめんなさい。お給金はできるだけ頑張るし、あなたの嫁入り先も探すから安心してね」
「何をおっしゃいます、グレース様。あたしはただ、面白そうだからついてきてるんですよ」
絶対について行くのだと言い張ったのはモリーのほうなのに、自分一人では無理だったから助かるとモリーに頭を下げたグレース。それにもビックリだったが、面白そうだと思ったのも本当だ。実際お嬢様の側にいると面白いものがたくさん見られる。王都に来て世界が一気に広がったと思うのだ。
「モリー隠れて。絶対に見つかってはダメよ。何があっても音を立てないで」
と厳しく指示されているため、口元を抑えて悲鳴をあげまいと懸命に歯を食いしばる。
グレースは今、ガラの悪い男達の相手をしていた。あれは金貸しタナーのところの奴らだ!
(お嬢様、お嬢様!)
本来こちらが主を守らなければならない立場にもかかわらず、モリーは怯え、ただグレースの言いつけを守って隠れていることしかできない。
グレースは風変わりなお嬢様だ。
モリーは代々伯爵家で働かせてもらっている家系なので小さい頃からグレースを知っているのだが、お仕えするお嬢様でありながら姉のように親しい存在でもあった。
以前は体が弱く顔を真っ青にして寝込むことが多かったが、いつも笑顔で使用人にも優しい。中でもモリーはグレースより二歳年下のせいか、随分可愛がられたと自負している。
だから事故で旦那様が亡くなったあと、懸命に行動するお嬢様についていくことはごく自然なことだった。今までの儚い雰囲気から一転したのも興味深く、ますます大好きになった。
「ご両親と引き離してしまってごめんなさい。お給金はできるだけ頑張るし、あなたの嫁入り先も探すから安心してね」
「何をおっしゃいます、グレース様。あたしはただ、面白そうだからついてきてるんですよ」
絶対について行くのだと言い張ったのはモリーのほうなのに、自分一人では無理だったから助かるとモリーに頭を下げたグレース。それにもビックリだったが、面白そうだと思ったのも本当だ。実際お嬢様の側にいると面白いものがたくさん見られる。王都に来て世界が一気に広がったと思うのだ。