私の愛すべき人~その別れに、愛を添えて~
第三章
木崎さんとお付き合いが始まってから、私の毎日は、まるで色鮮やかなパレットで塗られたかのようにきらめき始めた。休日は、互いの時間を合わせるように、様々な場所へ出かけた。
ある日の仕事終わり、彼から不意にメッセージが来た。
「今日、仕事が早く終わったんだけど、気分転換にドライブに行かない?」
メールを見た瞬間「もちろん!」と返信すると、すぐに彼が病院の近くまで迎えに来てくれた。
白のセダンがとっても似合っていて、何度見ても見惚れてしまう。
「凛、お疲れ様。疲れてない?」
車に乗り込む私に、彼が優しい声音で尋ねる。
いつの間にか私たちは「凛」「涼介」と呼び合うようになり、敬語の壁もなくなっていた。最初は少し照れたけれど、彼の呼び方が心地よくて、すぐに慣れてしまった。
「うん、大丈夫! 涼介もお疲れ様。ドライブなんて、嬉しい」
「よかった。実は凛の好きそうな場所があるんだ」
「え? どこ?」
「着いてからのお楽しみ」
そう得意げに言うと、車を発進させる。
助手席の窓からは夜風が吹き込み、私の髪をそっと揺らした。車窓を流れる街の明かりが、まるで宝石のようだった。流れる音楽が、二人の空間を優しく包み込む。
「着いた」
目的地である丘の上にある夜景スポットに着くと、視界いっぱいに広がる煌めく光の絨毯に、思わず「わぁ……!」と声が漏れた。