私の愛すべき人~その別れに、愛を添えて~
第四章
「準備オッケー」
化粧道具、化粧水、明日の洋服に、下着。忘れ物はないはず。 指差し確認しながら、バッグの中を再度確かめる。
今日は待ちに待った涼介の家にお泊りデート。昨夜は緊張で少し眠れなかった。胸の奥には、甘い期待と、微かな不安が入り混じっている。
カーテンの隙間から差し込む朝日は、いつもよりずっと眩しく、新しい一日が始まる高揚感を煽る。鏡に映る自分の顔は、少しだけ頬が紅潮しているように見えた。
「涼介、寝てるのかな」
傍に置いていたスマホを見る。
朝から涼介に「おはよう」と「そろそろ向かうね」というメッセージを送っているが、既読にならない。
「ま、いっか」
少しだけ不安がよぎったものの、きっと疲れているのだろうと、私は自分に言い聞かせた。
約束の時間が迫り、私は小さなバッグを一つ持ち、涼介のマンションへと向かった。心臓は期待と、ほんの少しの不安で高鳴っている。
30分ほどで涼介のマンションに着くと、私は緊張した面持ちでインターホンを鳴らした。