照れ屋な大崎くんは私のことが好きすぎる。
プロローグ
■プロローグ



「――好きだ」

 海斗くんが私を見つめながら真剣な口調でそう言った。

 男らしく精悍な顔立ちに、百八十五センチもあるたくましい体つき。

 子どもの頃は小柄でかわいかったのに、ものすごく成長したなぁ……なんて感心しかけて、言われた言葉の意味に気付く。

「ん? 好きって、私のことを?」

 唐突な告白に目を瞬かせると、驚く私を見て我に返ったのか、海斗くんの顔が一気に赤くなった。

「い、いやっ、ちが……っ」

 彼が慌てて首を横に振る。さっきまでの精悍さが嘘のような動揺っぷりだ。

「え、ちがうの?」
「や、ちがわなくて……!」

 否定したり肯定したりしどろもどろで、見ているこっちが息切れしそうだ。

 彼はもどかしそうに「あぁ、もう!」とつぶやき、息を吐き出してから私を見る。

「だから、俺は真帆ちゃんのことが……ずっと、好きだった」

 真っ赤な顔で『好きだった』と言われた私は、困惑しながら首をかしげる。

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