照れ屋な大崎くんは私のことが好きすぎる。
■十六年ぶりの再会 真帆サイド
■十六年ぶりの再会 真帆サイド
心地いい風が吹き抜け、肩の下まで伸びた髪を揺らした。
ふと顔を上げると、夕暮れの空が広がっていた。白い雲がゆっくりと流れ、遠くの山並みが夕日に照らされ光っていた。
東京にいた頃は人も街もぎゅうぎゅうに詰まっていて、気持ちに余裕もなくて、吹く風が心地いいなんて感じたことはなかった。
視界を遮る高層ビルに見下ろされながら、人の流れに押されるように早足で歩いていた毎日。
あの街でこんなふうにのんびりと空を見上げた記憶なんてない。
大学に進学するタイミングで東京に出て、就職して、結婚して、そして離婚して……。
私、遠山真帆は十六年間暮らした東京を離れ、三週間ほど前に地元に帰ってきた。
気付けば三十四歳。そしてバツイチ。
今は農協で事務の仕事をしながら小さなアパートを借り、生まれ育ったこの街でひとり暮らしをしている。
心地いい風が吹き抜け、肩の下まで伸びた髪を揺らした。
ふと顔を上げると、夕暮れの空が広がっていた。白い雲がゆっくりと流れ、遠くの山並みが夕日に照らされ光っていた。
東京にいた頃は人も街もぎゅうぎゅうに詰まっていて、気持ちに余裕もなくて、吹く風が心地いいなんて感じたことはなかった。
視界を遮る高層ビルに見下ろされながら、人の流れに押されるように早足で歩いていた毎日。
あの街でこんなふうにのんびりと空を見上げた記憶なんてない。
大学に進学するタイミングで東京に出て、就職して、結婚して、そして離婚して……。
私、遠山真帆は十六年間暮らした東京を離れ、三週間ほど前に地元に帰ってきた。
気付けば三十四歳。そしてバツイチ。
今は農協で事務の仕事をしながら小さなアパートを借り、生まれ育ったこの街でひとり暮らしをしている。