照れ屋な大崎くんは私のことが好きすぎる。

■劣等感と恋心 海斗サイド

■劣等感と恋心　海斗サイド


　
　真帆ちゃんのアパートを出た俺は、外の空気を胸いっぱいに吸い込んだ。

　頬をなでる風はひんやりしているはずなのに、火照った頬は熱いままだった。

　あんなに近くで、真帆ちゃんの顔を見たのは初めてだった。柔らかくて、温かくて、いい匂いがして……。

　彼女の体の感触がよみがえり、ぶんぶんと大きく頭を振った。

「……思い出すなって」

　小さくつぶやき、アパートの前の道を歩きだす。

　転びそうになった真帆ちゃんを咄嗟に抱き留めたとき、腕に触れた彼女の腰の細さに驚いた。

　彼女の体はとても軽くて華奢だった。だけど、倒れた拍子に当たった胸は柔らかくて、その感触に頭に血がのぼり、どうしたらいいかわからなくなった。

　それなのに真帆ちゃんは、俺を心配してぐいぐい距離を詰めて……。

　目の前に迫った彼女の胸もとに、理性は限界だった。