虐げられた私が姉の策略で結婚させられたら、スパダリ夫に溺愛され人生大逆転しました。

20.いつも助けてくれたのはあなたでした。

「カルマン公爵邸にも当主しか入れない秘密の地下室がありました。隠し扉などなく誰でも入れる形になっていましたが、私は近付くのも怖かったです⋯⋯」

私は父が当主になったら、地下室に案内してやると指し示した場所を思い出した。
私はその地下で何が行われているか考えただけで、ぞっとして近づけなかった。

きっと地下で鎖に繋がれた女が飼われていたり、謎の儀式が行われているに違いないと思ったのだ。

「誰でも入れる場所は掃除用具などが入ってる倉庫だと思いますよ。おそらく、本当の隠し地下室は公爵になる時に教えるつもりだったと思います。うちの場合は、地下室に領地経営に関する書類を保管しているので私がとってきますね」

私が地下が怖い暗所恐怖症や閉所恐怖症だと誤解したのかもしれない。
レナード様をまだ信じられない訳ではないけれど、地下に連れてかれた時に閉じ込められる可能性だってゼロじゃない。
だから、地下にいかないで済むなら甘えてしまおうと思った。

「ありがとうございます。あの、それと今日は私以外の令嬢と踊らないでほしいです⋯⋯」
私の急な申し出に、彼が目を丸くして驚いている。
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